こんにちは。農業の世界でもドローンを活用した技術は日々進歩してきています。以前にテクノロジーを活用し農作業の負担軽減を目指す「スマート農業アライアンス」という取り組みをご紹介しました。
その中で大豆の栽培にドローンとAIを活用して、農薬を害虫のいる箇所のみにピンポイントに散布するという技術の実証実験がおこなわれ、成功を収めています。
今回はその「スマート農業アライアンス」の取り組みのひとつの「スマートアグリフードプロジェクト」という農作物の生産、流通、販売をおこなうプロジェクトの成果「スマートアグリフーズ直送便」がオープンしたそうです。
AI、ドローンを使い農薬使用量を最低限に抑えた安心安全な米
AI・IoT・ビッグデータなどを活用し、楽しく、かっこよく、「稼げる農業」の実現をすべくスマート農業を推進する「スマート農業アライアンス」。
その中の取り組みで、ドローンとAI、IoTを利用し、減農薬を達成した高付加価値の農産物の生産、販売をおこなう「スマートアグリフードプロジェクト」。
出典:オプティム
そのプロジェクトで生産した「スマート米」が今回オープンする「スマートアグリフーズ直送便」で販売されます。
スマート米とは
スマート米とは、以前にスマート枝豆の生産でも活用された、ドローンによる農薬の散布で農薬使用量を抑えて育てられたものになります。従来の育て方の場合、畑の全体にまんべんなく農薬を散布する方法が一般的でしたが、ここにAIが活用されています。
まず、ドローンが自律飛行で畑の全体を撮影。その画像をAIで解析することで、害虫のいる場所を特定します。後はその害虫のいるポイントまでドローンが自律飛行で向かい、ピンポイントで農薬を散布するというものになっています。
害虫のいる箇所にだけ農薬を使うので、農薬の使用量が通常の1/10までに削減ができ生産コストや労力が圧倒的に抑えられる他、農作物の品質も上がります。
出典:オプティム
この「ピンポイント農薬散布テクノロジー」と名付けられた新しい栽培方法は、株式会社オプティムが開発した特許技術となっており株式会社オプティムのみが実施できる栽培方法となります。
スマートアグリフーズ直送便(愛称:スマ直)
この栽培されたスマート米ですが、11月15日からオープンした「スマートアグリフーズ直送便」で販売が開始されています。
値段としては通常で販売されているものよりも約1.5倍ほど高い価格となっていますが、農薬が極めて少なく抑えられているので安全安心な農作物としての付加価値を考えると高すぎる価格でもないでしょう。
スマート枝豆の残留農薬の検査では、不検出相当という検査結果が出ていますので、安心安全を求める消費者からすれば十分に魅力的な商品になっているのだと思います。
実際にスマート枝豆が百貨店で売り出された際は、通常価格の約3倍の価格だったにも関わらずあっという間に完売しています。
まとめ
農薬を使わない無農薬栽培は、当然害虫の被害を受けやすく育てるのにも多大な労力が必要になる他、農薬を使わない場合に比べ、大きく収穫量が下がる農作物が多いという調査結果があります。
特にりんごやももなど少しでも虫に食われていると製品価値が下がる農作物では、出荷金額の減収率が80%を超えるという調査データもあります。
農薬を使わない有機栽培では、農薬を使った栽培と比べると約8割の収穫量になるそうですが、有機栽培の農作物は付加価値がついて高い値段で販売できます。しかしそれ以上に労働負担が大きくなってしまうので、やはりそれぞれ一長一短あるものです。
このスマート農業で無農薬に近い品質の農作物の生産と労働の省力化ができることから、農家としてはこのテクノロジーを使うメリットは多大にありそうですね。何より農業分野の働き方改革としても有用な技術だと思います。
今後も「スマート◯◯」という商品が増えてくることでしょう。