こんにちは。AIやIoTなどを使った自動化などの技術は、個人の経験値に依存することなく、誰にでも簡単に効率的な作業が進められるように開発されているのが基本です。
比較的、土木・建設業界ではそれらの技術とも相性が良く、これまでの作業方法が何だったのかというくらい圧倒的な作業の効率化を成す技術が、日々生まれてきています。相性が良いというかこれまでやりたくても適用できる技術に限界があったのが、ようやくそれらを解決できる程にテクノロジーが進化してきたということでしょう。
タワークレーンを2次元誘導システムで自動化
今回ご紹介するのは戸田建設が開発したタワークレーンの運転を自動化し、揚重作業にかかる負担を軽減するとともに、作業効率の向上を実現するものです。
クレーン作業は、ほぼ手動で操作をおこなう必要があるので、オペレーターの熟練度が物を言う完全にアナログな作業になっていましたが、それをCADからの自動演算とGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)で効率化を実現しています。
出典:戸田建設
システム開発の背景
従来、タワークレーンでの揚重作業をする上で、以下の3点が問題となっていました。
1.常に変化し続ける現場の状況に合わせた対応が必要となる。
2.作業の進捗状況は作業オペレーターの技量によってバラツキがある。
3.オペレーターの高齢化などで、熟練のオペレーターが不足。
この問題点を見れば、如何にオペレーターの熟練度に依存している作業なのかは一目瞭然ですね。クレーンに限らず、土木作業や建設現場での特に大型の機械のオペレーションにおいては、大体同じような問題を持っているのではないでしょうか?
システム概要
このシステムは、「2次元自動誘導システム」と名付けられており、操作の手順は以下のようになります。
1.操縦席のディスプレイに表示されたCAD図面上で、オペレーターが吊荷の荷取り位置と取り付け位置をタップ。
2.吊荷を運搬する為に必要となる起伏や旋回時間が自動で演算され、ブームの先端を取り付け位置まで最短ルートで自動的に誘導します。
3.目的の位置まで近づくと自動的に減速機能が働き、荷ぶれを抑制。
今回開発された「2次元自動誘導システム」で、ブームの起伏と旋回操作の自動化がされたということになります。これだけでオペレーターの負担が軽減し、揚重作業の効率化がアップしたようです。
出典:戸田建設
ちなみにブームの位置をどうやって把握しているのかというと、そこにGNSSが利用されているようです。以前にもご紹介いたしましたが、GNSSは「全地球測位システム」のことで、基本的にGPSと同じと思って頂いても大丈夫だと思います。
GPSはアメリカが開発した衛星測位システムで、GNSSはGPS以外の衛星測位システムの総称、ということで基本的には名前の違いだけですね。
まとめ
特に土木・建設現場などで使用する重機や機器などは、熟練している人がやるほどに作業が効率的にできるというものはまだまだ多いのではないでしょうか。誰にでも熟練者と同様の効率・品質で作業ができるというソリューションはどんどんと広まるべきですね。
熟練者は勿論必要な人材ですが、業界の人材不足問題はこれから益々深刻になってきます。解消の為に外国人労働者を、というような意見もありましたが、単純に労働者を増やしても解決する問題ではないのは明らかです。
勿論それはそれでメリットもあるのも確かですが、業界の根本的な部分を見直していかなければ到底解決しないでしょう。今のテクノロジーを駆使した働き方改革、i-Constructionの推進はいい流れだと思います。