こんにちは。まだまだ朝晩は寒いものの、日中はだんだんと過ごしやすくなってまいりました。2月も来週で終わりますし春も近いですね。季節の変わり目には風邪などには十分に注意していきましょう。
本日は大林組と岡山大学の共同研究で、トンネル堀削の際に崩落が起こる予兆を検知するシステムを開発したということで、そちらのご紹介。先日の重機の5Gによる遠隔操作技術に続き、大林組さんのプレスリリースが活発ですね。
切羽崩落検知システム「ロックフォールファインダー」
このロックフォールファインダーというシステムですが、山岳トンネルの施工時に土を掘削していく切羽を撮影することで、その画像認識技術から崩落の予兆を検知するものです。
出典:大林組
開発の背景
トンネル工事は、はじめに「火薬や重機による岩盤の堀削」をおこない、次に「切羽周辺の岩盤を支える鋼製支保工の建込みとコンクリートの吹付け」→「岩盤へのロックボルトの打ち込み」という作業が一連の流れとなっています。
作業は常に切羽に接近しての作業となるので、その際に最も注意しなければいけないのが岩石の落下です。通常では切羽の近くから岩石の崩落が起こらないか予兆を確認するために、監視員が常に切羽を目視で監視しているそうです。
しかし目視の限界か、小さなひび割れやわずかに起こる剥落を、人の目だけで捉え続けるのは難しいものでした。
システムの特長
そこで開発されたロックフォールファインダーというシステムですが、目視では困難な部分を画像認識技術により解決しています。常に画像で捉えてそれを解析することで、瞬時に崩落の予兆を検知します。
小さなひび割れや微小な落石も危険な崩落の予兆です。画像でこれらを捉えることで、目視確認よりも格段に高精度な検知がおこなえるようになったと同時に、切羽近くで確認しなくても良くなったので、安全性に関しても飛躍的にアップしています。
1.画像認識技術で安全性が飛躍的に向上
出典:大林組
このシステムでは確認にビデオカメラを使用し撮影します。背景差分法という画像認識技術で、現在の画像と0.1秒前の画像を常に繰り返し繰り返し比較し続けることで、変化を捉えるというもの。
小さなひび割れは勿論、直径10mm程度の微小な落石も、動き始めの0.5秒以内に検知するという精度と処理の高さです。こんなに小さな動きにでも反応するのであれば、人や重機が動いていたら常に警告灯やブザーが鳴り響くんじゃないかと思いきや、それらは対象外として設定されているそうです。画像認識技術も進化していますね。
2.市販のビデオカメラとノートパソコンで導入できる
特殊な認識用のカメラやシステムが必要になりそうなシステムですが、全くそんなことはなく市販のビデオカメラとノートパソコンで導入ができるということで、この容易さはトンネル工事をする会社としては大きなポイントではないでしょうか。
また、タブレットで遠隔操作や監視もすることができるので、離れた所から状況を監視できるというのも省力化に繋がりそうです。
まとめ
こうして新しい技術を見ると、今までの目視確認というやり方が人の目に頼るというアナログで、しかもいつ崩落事故に巻き込まれるか分からないという危険な状況での作業という、とんでもなく非効率なやり方に見えてしまうほどに効率的なシステムだと思います。
こういったアナログな手法の作業というのはまだまだ業界の中には存在していると思います。それがようやくテクノロジーで解決できる時代にきていると思います。
しかしいざ開発や導入するにも人材や予算的な面の問題もあると思いますが、こればかりは補助金などあれどある程度はどうしようもない問題。国交省もi-Constructionを推進してはいますが、業界の全てがそうなるとは思っていないでしょうし目指していないでしょう。結局は個々の企業で対応をしていく他ありません。