こんにちは。随分と前からエネルギー問題が取り沙汰されていますが、石油危機以降の国の最終エネルギー消費の3割以上は民主(業務・家庭)部門が占めており、その消費はまだ増加傾向にあるということです。
世界に目を向けると近年のアジアを中心とした経済発展も原因となっていて、下のグラフを見るとアジアでの消費量がいかに増えているか一目瞭然です。
このまま世界的に消費増加傾向が続いていくと、エネルギー資源をほぼ輸入に頼っている日本としては安定供給の確保に問題が出てくるのは明らかですし、地球温暖化防止にも悪影響になりますね。
2020年までに新築公共建築物でZEBを目指すという政策
昨今ではエネルギー消費の増加に歯止めをかけるために、ZEBという政策の実現と普及が求められています。ZEBとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略で、年間の一次エネルギー消費を正味ゼロ、又はマイナスにするという政策。
定義としては
・建築構造や設備の省エネを実現する(室内環境の質を維持しつつ)
・再生可能エネルギー、未利用エネルギーの活用で自立度を高める
・地域内でのエネルギーの相互利用
これらを組み合わせ、一次エネルギー消費量ゼロを目指す建築物です。
ゼネコン6社共同でZEBの評価ツールを開発
五洋建設、青木あすなろ建設、錢高組、東亜建設、西松建設、三井住友建設の6社は、建築物の設計段階で省エネルギー技術の導入効果を評価することができるシステム、「ZEB評価ツール」を開発、活用段階に入ったということです。
出典:三井住友建設
ZEBの達成度合いを評価できるチャートが自動描画される
開発の背景
これまでは評価に際しては「建築物省エネ法」において適合性の判定・届出に使用されている「エネルギー消費性能計算プログラム」が広く使われてきました。
しかし、ZEBを目指す上でより高度な省エネ技術の導入を考えても、評価できる省エネ技術の種類に制約がある他、限られた設計期間で設計者が活用するには、操作知識や利用制限などの課題もあり、ZEB評価環境が十分とは言えない状況だったようです。
そこで、高度で先進的な省エネ技術の設計段階での効果評価が可能で、且つ設計者が利用しやすいツールの必要性が今後高まってくることを想定し、評価ツールの開発に至ったということです。
まとめ
ちなみに、閣議決定では2020年までに新築の公共建築物等でZEBを目指す他、2030年までには新築建築物での平均でZEBを目指すとあります。
要するに全ての新築の建築物は、年間一次エネルギー消費量がゼロのZEBにするということになります。これが実現すると確かにエネルギー部分で発展してくるでしょう。
でも新築の建築物は良いとして、これで大事なのは新築ではなく既存の建築物の場合ですね。既存の建築物をZEB化するとなると、場合によっては既存のシステム等もあると思いますので、一般の住宅などは別としてビルなどの場合、かなり大規模な改築が必要になるのではないでしょうか。
この辺りからも導入しやすいシステムが求められると思います。