こんにちは。近畿地方では厳しい冷え込みが続きます。昨日は今季一番の冷え込みとなったようで、京都では平年を4.1度も下回る寒さで、昨年より9日も早く初氷が観測されたとのこと。今年も残り少ないので体調を崩さないようにいきましょう。
本日はドローンの技術を利用した斜張橋のケーブルを点検する技術をご紹介。
ちなみに斜張橋とは塔から斜めに張ったケーブルを橋桁に繋げて支える構造の橋のことです。似たようなものに吊橋がありますが、基本的な構造が違っていまして、吊橋の場合はケーブルから伸びているハンガーと言われるケーブルが橋桁を支えています。
この斜張橋のケーブル部分を点検するロボット技術が開発されました。
ケーブルの最頂部から自動制御で等速降下しながら撮影する点検ロボット
今回、三井住友建設さんが茨城工業高等専門学校、山口大学と共同で開発したこのロボットですが、作業の流れとしてはケーブルの全周をくまなく撮影用できるカメラをケーブルの最頂部まで持っていき、そこからそのカメラを等速降下させながらケーブル全周を撮影をしていく、という流れのものになります。
出典:三井住友建設
点検ロボットの2つの特徴
1.パノラマ画像で点検後にすぐにケーブルの損傷部位の確認が可能
撮影ユニットに搭載された4台のビデオカメラは、1台あたり120°の範囲を撮影。同時に移動量計測装置でロボットの移動距離と回転速度を記録。
撮影された動画・画像は地上での回収後すぐに、画像の結合システムによってパノラマ画像化ができるので、その場で損傷部位を確認することができます。
2.点検作業の効率化・省力化を実現
自動制御された撮影ユニットが等速降下しながらくまなく点検をおこなうため、複数のユニットを用いて1台の昇降ユニットによる上昇作業を繰り返すことで、複数のケーブルを短時間で点検することが可能。
開発の背景
通常の斜張橋のケーブル点検は、望遠での目視確認や高所作業車を用いた近接目視、主塔からのロープ工法による目視点検などがおこなわれています。
これらは交通規制を実施する必要のあるものや、点検可能な高さ制限、安全性の問題、ケーブルに死角が生じてしまうものなど、色々と課題があったようです。
これら課題を解決可能にするのが点検ロボットです。このロボットの面白いところは、カメラをケーブル最頂部まで運ぶ技術にドローンを利用しているところです。ドローンと言っても自由に動き回らせるものではなく、あくまで昇降機としての役割のみで利用しています。
出典:三井住友建設
写真のようにケーブルに通して使用する形なので、通常のドローンのような墜落等のリスクはありませんね。こうなると最早ドローンではありませんが…
まとめ
頭が固いと専用の昇降機を作ってしまいそうですが…勿論そちらの方がコストが安いのであればいいと思います。ドローンをこのような用途で流用するのは面白いですね。柔軟な発想だと感じます。(この場合、航空法的にはどうなるのでしょう。無人航空機である以上は適用されるのでしょうか?)
単に空を飛ばすだけではない、こういう使い方もできるんだという好例だと思います。自由に飛び回れる機動力が自慢のドローンですが、敢えて動く範囲を限定させて、一番の懸念材料でもある落下の危険性も排除する。
移動範囲を限定させる使い方で、他の点検業務にも応用が効きそうな可能性を感じますね。