大林組のホイールローダ後付け自動運転装置、実証実験で通常操業と同等の作業性を実現
建設・産業現場の課題と自動運転技術の必要性
労働力不足や長時間労働など、建設や関連産業が抱える諸課題に対して、省人化や生産性向上の手段として自動運転技術の開発が急務となっています。
大林組は、これまで「バックホウ自動運転システム」や「タワークレーンを用いた自動運搬システム」など、さまざまな自動運転技術を実用化しており、その技術的知見をもとに新たな装置の開発に着手しました。
ホイールローダ後付け自動運転装置の概要
大林組は、ホイールローダに後付けできる自動運転装置を開発し、グループ会社である大林神栖バイオマス発電所において実証実験を実施しました。
この装置は、3D-LiDARや傾斜計などの各種センサー、自動運転制御盤、そしてレバー制御装置から構成され、どのメーカー・機種のホイールローダにも後付けが可能な柔軟性を持っています。さらに、すくい込み、運搬、積み込み、投入といった各作業設定は遠隔操作で行え、作業者の熟練度に依存せず簡単に設定できる点が大きな特徴です。
実証実験で示された高い作業性能
実証実験では、バイオマス発電の燃料となるPKS(Palm Kernel Shell)を対象に、装置搭載のホイールローダが集積場所から燃料投入口まで運搬・投入する作業を行いました。
- 実験成果:発電所の安定稼働に必要な135トンの燃料投入を、約2時間半という短時間で達成。
- 暗所での動作確認:暗い環境下でもセンサーが正常に作動し、日中と同等の作業が可能であることが実証されました。
多様な現場への適用可能性と今後の展望
今回の装置は、ホイールローダの種類を選ばず後付けできるため、建設現場だけでなく採石業、農業、さらには発電施設など、さまざまな産業分野での活用が期待されます。
大林組は今後も、自動運転装置の技術開発を継続し、各種建設機械の自動運転システムとの連携を図ることで、労働環境の改善と生産性向上を推進し、建設業のみならず広範な産業のDXに寄与することを目指しています。
まとめ―自動運転技術がもたらす産業革命
今回のホイールローダ用後付け自動運転装置は、従来の有人操業と同水準の作業性を実証実験で確認するなど、産業現場における自動運転技術の実用性を改めて示しました。
私見として、こうした技術革新は、建設現場における省人化や作業の安全性向上だけでなく、労働環境全体の改善に大きく貢献する可能性を秘めています。自動運転技術のさらなる発展と多様な産業への展開が、今後の生産性向上や持続可能な産業社会の構築に向けた大きな一歩となるでしょう。
参考情報
□株式会社大林組「ホイールローダ用の後付け自動運転装置を開発」
URL:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20250218_1.html