遠隔操作でシールド工事の未来を切り拓く – 1,800km離れた台湾での掘進に成功

sugitec

大阪から台湾へ、シールドマシンの遠隔運転が実現

建設業界では、熟練オペレーターの不足が深刻な課題となっています。シールドトンネル工事においても、専門知識を持つ技術者の高齢化や入職者の減少が進み、より効率的な施工方法が求められています。

こうした状況の中、株式会社奥村組と奥村機械製作株式会社は、遠隔操作システムを開発し、大阪市内のオフィスから約1,800km離れた台湾・新竹市のシールドマシンを操作することに成功しました。これにより、遠隔地からの掘削、推進、排土といった主要な作業が可能となり、オペレーターの負担軽減や複数現場の兼務といった新たな働き方の実現が期待されます。

遠隔操作システムの仕組みとその優位性

本システムは、インターネット経由で遠隔地のPCからシールドマシンの制御用コンピューターに接続し、運転を行うものです。従来、シールド工事の管理は現場内の中央管理室で行われていましたが、本システムの導入により、国境を越えての遠隔操作が可能となりました。

主な特徴

  1. インターネット環境があれば、世界中どこからでも操作可能
  2. 遠隔操作信号のタイムラグは1秒以内で、現場と遜色ない精度を確保
  3. 通信遮断後も自動再接続が可能で、安定した作業環境を維持

大阪からの遠隔操作でも、掘削、推進、排土といった主要機能を問題なく動作させることが確認され、実際の施工現場での実用性が証明されました。

出典:株式会社奥村組「台湾で稼働中のシールドマシンを約1,800km離れた大阪から遠隔運転に成功」本システムによる遠隔操作の状況 http://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2025/1800km.html

技術者不足への対応と今後の展望

本システムの導入により、現地にオペレーターを常駐させる必要がなくなり、熟練技術者の負担を大幅に軽減することが可能となります。また、今後は遠隔操作を活用した技術指導や人材育成にも活用し、オペレーター不足の解消を目指します。

今後は、台湾で予定されている4件のシールド工事(総延長27km・18台のシールド機)への適用を進めるとともに、国内での導入も計画されています。遠隔操作技術の発展により、建設業の未来はさらなる効率化と省人化に向かうことが予想されます。

国境を越えたシールド工事の遠隔操作は、今後のインフラ建設における新たなスタンダードとなるかもしれません。


この内容に関するお問い合わせ先
□株式会社奥村組
 土木本部 土木・リニューアル技術部 技術2課
 江本 宏明(えもと ひろあき)
 TEL:090-9544-1040
 E-mail:hiroaki.emoto@okumuragumi.jp

土木技術技術特集
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました