ロボット性能評価の新たなステージへ:長崎スタジアムシティでの実証実験

sugitec

ロボット導入の課題と背景

近年、オフィスやレストラン、工場などさまざまな場面でサービスロボットの導入が進む中、その種類や性能の多様さから適切なロボットを選定することが課題となっています。

これに対し、戸田建設株式会社ではロボット性能評価の標準化を目指す研究に取り組んでおり、その一環として、パナソニック ホールディングス株式会社主導のもと、長崎スタジアムシティで実証実験を実施しました。このプロジェクトは経済産業省の「令和6年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の一環として行われました。

実証実験の概要

実験は、長崎スタジアムシティ内のコンコースで、配送ロボット「DeliRo® Truck」、清掃ロボット「HAPiiBOT」、配送ロボット「WILL」の3台を使用して実施。ロボットが人ごみの中を移動する際の挙動を観察し、以下の2つのシナリオを検証しました。

  • シナリオA: 人が歩いている中をロボットが横切る。
  • シナリオB: 人とロボットがすれ違う。

評価は次の3つの指標に基づいて行われました。

  1. 安全性: 人との衝突や進入禁止領域への侵入の有無。
  2. タスク実行能力: 歩行者の有無によるロボットの走行時間の変化。
  3. 歩行者への妨害度: ロボットが歩行者の移動速度に与える影響。

これらのデータは、導入現場に応じたロボットの選定や運用最適化に役立てられます。

出典:戸田建設株式会社「長崎スタジアムシティでロボットの実証実験を実施!」実証実験に活用したロボット https://www.toda.co.jp/news/2025/20250120_003455.html
出典:戸田建設株式会社「長崎スタジアムシティでロボットの実証実験を実施!」試験概要 https://www.toda.co.jp/news/2025/20250120_003455.html

プロジェクトを支える協力体制

本プロジェクトは、(株)リージョナルクリエーション長崎が統括、戸田建設(株)が副統括として参加。加えて、パナソニック ホールディングスが性能評価実験を担当し、ZMPやアマノ、ciRoboticsなどがそれぞれのロボット提供と運用に携わっています。この多角的な協力体制により、実験は円滑に進められました。

出典:戸田建設株式会社「長崎スタジアムシティでロボットの実証実験を実施!」プロジェクトで使用しているロボット https://www.toda.co.jp/news/2025/20250120_003455.html

ロボットフレンドリーな未来への展望

本プロジェクトの成果は、単にロボット性能の評価基準を構築するだけにとどまりません。パナソニック ホールディングスは「ロボットフレンドリービルディングデザイン」というビジョンのもと、人とロボットが共存する最適な環境づくりを進めています。

今後は、これまで蓄積したノウハウを基に、ロボット導入コンサルティングを通じて国内施設への普及を促進し、ロボット利用の社会的認知と実用性の向上を目指すとしています。

出典:戸田建設株式会社「長崎スタジアムシティでロボットの実証実験を実施!」ロボットフレンドリービルディングデザイン概要図 https://www.toda.co.jp/news/2025/20250120_003455.html

まとめ:ロボット普及の鍵を握る標準化

今回の実証実験は、ロボットの性能を測る基準作りという重要な一歩を示しています。ユーザーにとって適切なロボット選定を可能にし、ロボット導入のハードルを下げる標準化は、国内外でのロボット普及を加速させるでしょう。

筆者としては、このようなプロジェクトが今後も拡大し、社会のさまざまな場面でロボットが活躍する未来が実現することを期待しています。また、単に技術革新にとどまらず、ロボットとの共存が人々の生活の質を向上させる方向で進化することが、真の意義だと考えます。


この記事の内容に関するお問い合わせ

□戸田建設株式会社
お問い合わせフォーム:https://www.toda.co.jp/inquiry/

技術特集
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました