概要
大成建設株式会社(以下、大成建設)と株式会社八木熊(以下、八木熊)は、2023年10月より建設現場で不用となった三角コーンの再資源化に関する実証試験※1を開始しました。
この取り組みにより、建設工事現場における廃プラスチックの発生量抑制と、三角コーン製造時におけるCO2排出量の削減が可能となり、循環型社会や脱炭素社会の実現に貢献というリリースニュースをお届けします。
廃プラスチックの発生量抑制とCO2排出量の削減を推進
安全用品として使用されている三角コーンは、建設現場では消耗品として取り扱われ、工事の竣工に伴ってそのほとんどが再利用されることなく廃棄物として処分されています。
しかし、三角コーンは本来リサイクル可能なプラスチック素材で製造されており、適切に回収すれば再資源化が可能です。また、廃プラスチックの発生量を抑制し、製造時のCO2排出量を削減※2することが期待されます。
2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法(正式名称:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」)でも、海洋プラスチックごみや気候変動など現在のプラスチックを取り巻く様々な環境問題の解消に向け、プラスチックの再生利用により資源循環や脱炭素を促進していくことが求められています。
そこで大成建設は、八木熊との協働により、大成建設の建設現場で不用となった三角コーンを適切に回収・再資源化し、再生三角コーンの製造に向けた実証試験を開始しました。
実証試験における三角コーンリサイクルの工程は以下のとおりです。(図1参照)
①大成建設の建設現場で不用となった三角コーンを回収・運搬し、集積場所に集荷。
②原料製造施設に運搬し、洗浄・破砕後、粒状にペレット化して原料を製造。
③原料(再生ペレット)を再生品製造施設に運搬し、再生三角コーンを製造。
④大成建設の建設現場で、再生三角コーンを使用。
なお、今回の実証試験で製造した再生三角コーンは、製造後に物理特性(引張強度、伸び等)を評価したうえで、大成建設の技術センターや建設現場で実際に使用して耐候性などについて約1年間検証し、その後再び回収して再資源化の上、建設現場での利用を試みる予定です。これらの工程を繰り返すことで、三角コーンのリサイクルループの構築を目指します。
今後、大成建設は、三角コーンなどプラスチック類の再資源に向けた取り組みを進め、建設工事現場における廃棄物の発生量抑制や製造時のCO2排出量の削減を促進し、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
図1 三角コーンの再資源化実証試験イメージ
※1 実証試験については福井県に「産業廃棄物を使用した試験研究に関する計画書」を提出し、同県にて受領済。
※2 主原料として再資源化材を利用することで、原材料調達から製造まで 三角コーン1トン当たり3.84トンのCO2を削減できる見込み。
資料引用:大成建設
おわりに
三角コーンはポリエチレン、軟質ポリエチレン、EVA、軟質塩ビのいずれかが原材料として使用されており、これらは工事現場や建設現場、道路、イベント会場、スポーツ競技の会場などで幅広く利用されています。周知のように、コーンの色を使い分けて作業区域を視覚的に明示します。
実のところ、三角コーンの硬さや耐久性は製造方法や添加物の有無、再生材料の割合によって異なり、各企業の製造プロセスは秘密とされているため、具体的な仕様は分かっていなのが実情です。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□大成建設株式会社
リリースニュース:
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240119_9867.html
□株式会社八木熊
https://www.yagikuma.co.jp/