概要
株式会社リコー(以下、リコー)は、「リコー 路面モニタリングサービス」と同等の性能を維持しながら、より小型・軽量化しお客様ご自身の車両でお使いいただける新計測装置を用いた「リコー路面簡易点検支援サービス」を開発というリリースニュースをお届けします。
路面点検の3要素のすべてに合格
「リコー路面簡易点検支援サービス」イメージ
本サービスで使用する装置は、一般財団法人土木研究センターが実施する「2023年度路面性状自動測定装置の性能確認試験」(以下、性能確認試験)のうち、「ひび割れ」、「わだち掘れ」、「平たん性」、「距離」の項目の昼間試験に合格しました(有効期限:2024年10月1日)。また、国土交通省が発行する「点検支援技術 性能カタログ」にも掲載されています。
本サービスは、ステレオカメラ*1を搭載した一般車両を用いて、走行しながら路面の状態を撮影し、AI(人工知能)による機械学習を活用した分析を行うことで、撮影から測定結果の算出および報告書の作成までを自動で実施し、道路インフラの維持・管理を効率化するものです。
2019年8月に開始した「リコー 路面モニタリングサービス」では、ステレオカメラで構成されるシステム搭載車として初めて性能確認試験に合格した車両で測定を行っていました。
今回リコーは、よりお客様にお使いいただきやすい選択肢として、お客様ご自身の車両に搭載可能な可搬式計測装置を開発しました。これまで複数台のステレオカメラが必要でしたが、より小型・軽量化したステレオカメラ1台を搭載するだけで、従来の路面性状計測車両と同等の計測精度で路面点検が可能になりました。
リコーは、道路点検業務の受託業者を通じて、より多くの道路に本サービスを展開していくことで、道路インフラの維持・管理の効率化に寄与し、社会インフラ・メンテナンス事業への取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献してまいります。
*1 ステレオカメラ… 2台のカメラの視差情報を利用して被写体の奥行き情報(3次元情報)を得るカメラのこと。
搭載するステレオカメラ
背景
現在、日本国内に存在する約122万kmの道路(実延長)のうち、自治体管理の市町村道が約84%を占めています。これらは高度経済成長期に敷設された路線も多く、経年による老朽化が社会的課題となっていますが、人手不足や効率面の課題があり点検しきれていない路線が数多く存在し、インフラに不具合が生じる前に修繕やメンテナンスを行う「予防保全」を実施していく必要があります。これに対し、2016年には国の点検要綱の改訂により、点検手法の見直しや効率化につながる新技術の採用が推奨されており、都道府県・政令指定都市を含めた様々な自治体でこれらの技術を活用した道路点検・管理のニーズが高まっています。また、令和5年度の各種試験*2から、専用の測定車両を定めない可搬式の路面性状測定機器による応募が可能になり、性能と測定の簡易さの両立が求められています。
*2 2023年度路面性状自動測定装置性能確認試験」、「舗装点検・道路巡視の支援技術」に関する公募など。
「リコー 路面簡易点検支援サービス」の特徴
新開発の小型・軽量の可搬式計測装置により、これまで専用車両で使われていた路面性状点検と同等性能の機材を、お客様ご自身の車両に搭載することが可能になります。計測走行をお客様ご自身で行うことで、点検にかかる支払いコストを抑えることができます。また、軽自動車などの小型車に搭載することで、生活道などの細い路線にも対応し、より網羅的な点検につながります。
ステレオカメラ1台を用いた撮影システムで、一般に道路の維持・管理の指標として利用される「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性」の3項目を計測します。ステレオカメラで路面の3次元画像と輝度画像を同時に撮影し、輝度画像のAIによる機械判読から「ひび割れ率」を、3次元画像から「わだち掘れ量」と「平たん性」を自動算出することで、効率的な点検結果作成を実現します。
上記の3項目のほか、乗り心地の指標であるIRI(クラス2手法)*3の測定や、道路維持管理の総合的な指標である「MCI(Maintenance Control Index)値」の算出も含め、計測したい項目を任意で選択が可能です。多様な評価指標に基づく網羅的かつ効率的な路面舗装状態の把握により、道路修繕の優先順位や時期の的確な判断に貢献します。
*3 IRI… International Roughness Index(路面縦断方向の凹凸評価指標)
資料引用:リコー
おわりに
「路面モニタリング」のみの利用に限定することはないと思うのはライターだけでしょうか。
カメラの向きを上にすれば、トンネル内の状態を普通車両で通過するだけで、定期調査が可能なのではないでしょうか。今後の転用を注視したいと思います。
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