概要
第50回記念となる今大会の2日目に設定されていたSS(スペシャルステージ)は、3か所のステージを2回ずつ走行する計6SS、約34.86kmでした。あいにくの雨天とはなりましたが、選手たちは難しい路面コンディションのなか熱い戦いを繰り広げ、14時45分すぎに高山市位山交流広場でラリーフィニッシュを迎えました。JN-1クラスのHeikki Kovalainen/北川紗衣組(AICELLOラックDL速心FABIA)が、2位の勝田範彦/木村裕介組(GR YARIS JP4-Rally)に8.6秒という僅差で優勝を飾りました。3位には福永修/齊田美早子組(アサヒ☆カナックOSAMU555ファビア)が入賞しました。JN-4クラスでは、優勝した内藤学武/大高徹也組(YHアーリット スイフト)が、2023年JAF全日本ラリー選手権のチャンピオンとなりました。
本日は参戦した兼松選手からのリザルトレポートが届きましたので、ラリーの感想、そして来季への意気込みをそのまま掲載します。
第50回 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ2023
■競技の格式
JAF公認:国内競技 JAF 公認番号 2023年 1119号
■競技種目
スペシャルステージラリー
■開催日程
2023年10月13日(金)~10月15日(日)の3日間
■場所
岐阜県高山市周辺
ラリースタート 岐阜県高山市一之宮町 モンデウス飛騨位山
ラリーフィニッシュ 岐阜県高山市一之宮町 モンデウス飛騨位山
■コース概要
スペシャルステージ :ターマック
コースの総距離 :382.26km
スペシャルステージの総距離: 78.50km
スペシャルステージの数 :12
レグ・セクションの数 :2レグ・4セクション
■コースコンディション
天候:土曜日 晴れ 日曜日 雨のち曇り
路面:土曜日 ドライ 日曜日 ウェット
全日本ラリー選手権の最終戦となるハイランドマスターズ。
今年で50回目を迎える歴史あるラリーイベントで、今大会では高山市街の歴史ある街並みがリエゾンに設定されたり、アルコピアでは、セレモニアルスタートやギャラリーステージ、ブース出展があり、多くの観客で盛り上がるイベントとなりました。
雨のハイランドともいわれるほど例年雨が多く、不安定な天候の中開催されるラリーで、今年も土曜日は晴れましたが日曜は雨となりました。
コースは道幅の広いハイスピードなステージから、ツイスティで泥や砂利の浮いた滑りやすいステージまで、様々な種類の走りごたえのあるラリーで、それぞれリズムがガラッと変わるため、ドライビングを切り替えていく必要があります。距離の短いステージで構成されているため、大きなタイム差が付きにくいのも特徴です。
LEG1(1日目)
牛牧下り 6.20km:
比較的道幅も広く、路面もキレイな下りステージ。
あたがす 9.54km:
ストレート~緩いコーナーの続くハイスピードステージ。
ストレートの路面がうねっていて跳ねたり、砂利の出ているコーナーも。
アルコピアー無数河 6.08km:グラベルのギャラリーステージから苔むした細い林道へ入る、道幅が細く滑りやすいステージ。
土曜日はすっきりと晴れており、気温、ステージ距離からタイヤはDUNLOP301R Sを選択。
午前のループでタイムはかなり遅れてしまい、4位と15秒差の5位。
SS2のあたがすではマシンをぶつけてしまい、その後もリフューエル時の渋滞でSS3へ遅着し、バタバタと走行開始。
せっかくのドライコンディションですが、攻めきれず、リズムにも乗れないまま昼サービスへ。
昼サービスでは、午前の車載を見返し危険だった箇所をペースノートへ追記し、マシンはタイヤローテーションとブレーキのエア抜きをしてもらいサービスアウト。
午後のループではSS4でクラス3番手タイムを出せたものの、4位の黒原/松葉組と25秒差の5位で1日目を終えることとなりました。
特にSS2/5のあたがすでは、路面のうねりやギャップをレッキの時点で見落としてノートに落とし込めていなかったためペースを落としてしまい、ドライ路面を攻めきれず非常に悔しい1日目となってしまいました。
■SS1(牛牧下り)
・全体的にリズムが悪くペースが遅い
■SS2(あたがす)
・ストレートのうねりをノートに入れておらず、跳ねるためペースダウン
・ステージ後半でマシンをぶつけてしまう
・走行後ブレーキのエア噛み
■SS3(アルコピア-無数河)
・アルコピアのグラベルが難しい
・全体のペースが遅い
■サービス(昼)30分間
・タイヤローテーション
・ブレーキエア抜き
・あたがすのノート再チェック
■SS34(牛牧下り)
・クラス3 番手タイム
・前半上り区間が特にタイムロス
■SS5(あたがす)
・アンダーガードがないためギャップ区間でペースを落とすしかないのがもったいなかった
・走行後ブレーキのエア噛み
■SS6(アルコピア- 無数河)
・アルコピアのグラベルでタイムロス
■サービス(夕方)45分間
・各部点検
・ブレーキエア抜き
・パルクフェルメ(車両保管)へ移動
LEG2(2日目)
駄吉下り 6.24km:
土や落ち葉、砂利が多く滑りやすいステージ。
今回のラリーで個人的に一番難易度が高いステージでした。
大山線 5.11km:
2車線を使用する道幅が広くハイスピードなステージ。前半上り、後半下りで路面はキレイ。
無数河ーアルコピア 6.08km:
前日SS3/6 の逆走。
雨が降るとかなり滑りやすく、アルコピアのグラベルは前日よりも掘れて難しい。
日曜日は朝から強い雨が降り、今大会で最も路面が汚い駄吉下りからのスタート。
雨で路面が悪いのは危険で怖いですが、チャンスでもあります。安定したペースで走りつつ、相手のミスを待ちタイムを詰めていき順位アップを狙います。
午前のSS3本を走り切り、雨でペースを落とした4位の黒原/松葉組と7秒差に。
3位の奥村/山本組まで25秒と少し遠いですが、不安定な路面で何があるかわからないのでチャンスを狙います。昼には雨が上がりましたが、林道は乾かないという予想と、周りの選手のタイヤを見つつ、雨用の201R のまま午後のループへ。
SS10で黒原/松葉組を抜き、3位とも約12秒差となり、安定したペースで3位を目指します。
SS11も安定したペースで、最終SSを残し3位とのタイム差5秒。
しかし、最終SSで負けてしまい、4位で完走となりました。
■サービス(朝)15分間
・タイヤ交換→201Rへ
■SS7(駄吉下り)
・砂利、泥、落ち葉でスリッパリー
■SS8(大山線)
・川があってこわい
■SS9(無数河-アルコピア)
・グラベルに出るギャップで去年オイルパンを割ったので慎重に
・ウェットのアルコピアで大幅タイムロス
■サービス(昼)30分間
・タイヤそのまま
・下回り点検
■SS10(駄吉下り)
・雨が止み日が当たる場所は乾いた路面
・クラス3番手タイム
■SS11(大山線)
・スタート直前に雨が降りはじめ、後半下りから大雨に。
・クラス3番手タイム
■SS12(無数河‐アルコピア)
・今までのタイム差から、安全な走りをしてしまった
■結果
エントリー台数 77台(オープンクラス含)
総合順位 26位/56台(選手権のみ)
JN4クラス 4位/6 台
2024シーズンに向けて
今大会で今年の全日本ラリー選手権は全イベントが終了となります。
5戦出場し、シリーズランキングはJN4クラス5位となりました。
なんとかシリーズ入賞は果たすことができましたが、全体を通して良い成績ではなく悔しいシーズンとなってしまいました。
プライベーターとしてJN4クラスでの参戦1年目で多くの経験ができたシーズンでもあったため、
来年は今年の経験や失敗を活かし、安定したペースで上位入賞を狙っていきます。
1年間ご支援・応援いただき本当にありがとうございました。
来年もJN4クラスへ参戦予定ですので、引き続き応援いただけますと幸いです。
写真:合同会社サンク、岩田純治