概要
三井住友建設株式会社(以下、三井住友建設)は、環境配慮型コンクリート「サスティンクリート®」のポルトランドセメント(以下、セメント)を使用しないゼロセメントタイプを用いた計画中の建物※1を対象に、東京大学大学院工学系研究科 野口 貴文 教授のご協力の下、国内初となる一般財団法人日本建築センターの特別工法評定(BCJ評定-SS0049-01、令和4年5月10日)を取得。これによりセメントを使用しないコンクリートによる建築物の実現が可能にというリリースニュースをお届けします。
※1: 地上3階、免震構造、躯体構造:アンボンドプレキャストプレストレストコンクリート造、一部鉄筋コンクリート+鉄骨造(上部躯体構造の全てのプレキャストコンクリート(PCa)部材にゼロセメントタイプのサスティンクリートを使用)
「サスティンクリート®」が建築構造部材として適用可能に
「サスティンクリート」とは
材料に由来するCO2排出量を40%~最大90%削減する三井住友建設が開発した環境配慮型コンクリートです。高炉スラグ微粉末やフライアッシュ、シリカフュームなどの産業副産物の特性を考慮し、配(調)合の最適化を図ることによって、様々な構造物の要求性能を満足しつつCO2排出量が多いセメントの使用量を極力低減します。
建築構造部材への適用に向けた取り組み
三井住友建設は、「2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ」を策定し、脱炭素社会に貢献する取り組みを推進しています。
コンクリートに使用されるセメントは、製造過程におけるCO2排出量が多く、その使用量を減らすことは建築物建設時の建築材料由来のCO2排出量(Scope3カテゴリ1)の削減に大きく寄与します。
しかしながら、セメントを使用しないコンクリートの建築構造部材への適用は、建築基準法の範囲外となっています。
そこで三井住友建設は、PCa部材の製造管理手法を確立するとともに、材料特性、構造性能および耐火性能を確認し、ゼロセメントタイプのサスティンクリートが一般的なコンクリートと同様に取り扱うことが出来ることを国内で初めて実証し、建築物を限定した個別の特別工法評定(評定期間9カ月)を取得しました。
確認項目 | 確認方法 | 確認内容 |
製造管理システム | PCa工場での審査 | PCa部材の製造管理が適切に実施できること |
材料特性 および品質管理手法 | 室内試験PCa工場での実機試験 | 一般的なコンクリートと同様に鉄筋コンクリート構造用の材料として取り扱える力学特性や耐久性能を有し、 部材の強度管理が可能であること |
構造性能 | 構造性能実験 | 構造性能は一般的なコンクリートを用いた場合と同等以上であること |
耐火性能 | 実大載荷加熱試験 | 1時間耐火性能 |
【評定での確認内容】
【構造性能実験(柱梁T形架構)】
【実大載荷加熱試験(柱)】
【構造性能実験による柱梁接合部の最終破壊状況】
(一般的なコンクリートを用いた試験体)
(サスティンクリートを用いた試験体)
今後の展開
環境配慮型コンクリート「サスティンクリート」はこれまで土木構造物や非構造部材へ適用してきました。今回の取り組みは、ゼロセメントタイプの「サスティンクリート」の建築構造部材への適用に向けた第一歩となります。
今後もサスティンクリートの適用範囲を拡大し、お客様のご要望に幅広くお応えするとともに、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
おわりに
国内の自動車道インフラの基盤工事で受賞歴の多い三井住友建設。
環境配慮型コンクリートの実用化は、構造物の高強度にくわえ、将来的なメンテナンスに恩恵をもたらされていくことでしょう。国土強靭化のリブートが始まる。
リリースニュース:https://www.smcon.co.jp/topics/2023/09111300/
□三井住友建設株式会社
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