概要
2023年7月26日(水)~28日(金)に東京ビッグサイトで開催された暑さに対する課題解決を行うことに特化した専門展示会『第9回 東京猛暑対策展』は、この猛暑とかさなり、各メディアにも取り上げられ、盛況な展示会でした。資材・素材分野でも「猛暑対策」の資材開発は今後も活発化していくでしょう。本日は今回の展示会のリリースニュースからSPACECOOL株式会社(以下、SPACECOOL社)の放射冷却素材「SPACECOOL®」をピックアップします。
放射冷却素材「SPACECOOL」
今年はスーパーエルニーニョ現象をはじめとする異常気象により、全国的に猛暑となり、熱中症の危険性が高くなってきております。
また、工場や倉庫、物流などでも暑熱の問題で機器の故障や保管物の劣化など様々なトラブルも増えてきています。
そのような状況下において、ゼロエネルギーで冷却できる放射冷却素材「SPACECOOL®」は、人・モノ・社会の暑熱環境を改善し、安全性・快適性・信頼性・経済性・環境性を向上することに貢献していきます。
さらに地球温暖化の対策には、温室効果ガスを削減する「緩和策」と、温暖化の影響に対処する「適応策」がございますが、SPACECOOL®は、省エネルギー対策としての「緩和策」と、熱中症予防や高温障害対策としての「適応策」の両方に活用いただくことができます。
本素材は、直射日光下において、太陽光と大気からの熱をブロックし熱吸収を抑えるだけではなく、放射冷却技術の原理により宇宙に熱を逃がすことで、エネルギーを用いずに外気温よりも温度低下する放射冷却素材※1です。(図1)
2020年夏の実証実験においては、直射日光が当たった状態で、本素材の表面温度が外気温より最大約6℃※2低くなったことを確認しており、世界最高レベル※3の放射冷却性能を実現しています。(図2)
図1 本素材の概念図
図2 本素材の冷却性能
※1:独自の放射冷却技術を用い、太陽光の入熱を抑え、熱放射による出熱(熱せられた物体の熱が電磁波・光として運ばれる現象)を大きくした材料設計により実現。
※2:大阪市此花区の大阪ガスエネルギー技術研究所にて計測(計測時の周囲気温は約35℃)。放射冷却素材を施工した鋼板の裏面温度を測定。
※3:公開されている論文を用いた当社および大阪ガス調べによる。
製品について
正式販売している製品は下記外観、特製を有するマグネットシートです。
人に対する価値提供(熱中症予防)
放射冷却テント、普通白テントで比較して試験実施。
体感温度において-10℃程度の違いを確認※1
※1 放射冷却素材で作ったテントの額温度は体温レベルになるのに対し、普通テントでは40℃程度。体感温度の大きな違いを確認。
【ライター心の声】36℃はさすがに…熱中症になりやすいかな。
モノに対する価値提供
白色物置に放射冷却素材を貼りつけ試験実施。
・天井温度:白色と比較し20℃低下。
・倉庫内温度:初期状態比較で最大10℃低下。
熱対策のために50mmのグラスウールを全面に入れた物置と比較し最大6℃低下。
【ライター心の声】外壁塗布も可能なのかも
社会に対する価値提供(省エネ)
工事現場用ユニットハウスに放射冷却素材を施工し、有無で電力消費量を比較。
放射冷却素材の有無で9:00〜17:00の消費電力が約20%DOWN。
【ライター心の声】室外機への塗布も考えれるか。
資料引用:SPACECOOL
おわりに
SPACECOOL社は日米を拠点にするベンチャーキャピタルのWiLと大阪ガスが共同で運営しています。
放射冷却は、夜間に気温が下がる原因の一つの現象ですが、太陽光の入熱が大きい日中に放射冷却現象によって外気より温度低下させるためには、光学設計が重要です。
大阪ガスでは2017年より独自に研究開発を開始し、光学制御技術による材料設計を行うことで、日本で初めて日中の放射冷却性能を確認するとともに、実用に足る耐久性を材料に付与し、量産技術を確立に至りました。同時に夢洲万博会場予定地などにおいて本素材を用いた実証実験を行い、省エネ性・快適性といった価値評価を開始しています。
SPACECOOL社においては、2021年4月の会社設立以来、約1年をかけて本素材を様々な用途に活用できるように、各分野のパートナーと共同での用途開発や実証実験に取り組み、ユーザーへの価値提供実現に向けて商品・サービスを研鑽、本素材は多様なニーズに広げれると判断し、2022年5月12日から正式販売を開始しています。
期待の新素材の「SPACECOOL」なのだが、この地球からの灼熱の気候変動に耐えていけるだろうか。今後の展開を注視したいと思います。
□SPACECOOL株式会社
リリースニュース
https://spacecool.jp/news/magnetsheet/
リリースニュース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000078861.html
・お問い合わせ先フォーム:https://spacecool.jp/contact/
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