概要
東亜建設工業株式会社(以下、東亜建設工業)が、水中ドローンに搭載したカメラ映像を用いて3Dモデルを作成する技術を岸壁の点検に試験的に導入し、実用性の検証を行ったリリースニュースをお届けします。
港湾構造物の維持管理の効率化を目指した実用性検証
水中ドローン操作状況
検証の概要
近年、ドローンを用いた陸上の写真測量は大規模な造成現場などで用いられる例が見られますが、東亜建設工業は本技術を応用して水中で撮影した写真から構造物の形状を3次元モデル化する試みを行っています。
従来の港湾構造物の維持管理では、主に潜水士による潜水調査が用いられてきましたが、コストや時間がかかる上、劣化個所の局所的な写真しか撮影できないため全体の把握が困難という課題がありました。
今回の試みでは多少濁りのある海域でもオルソ画像※1を生成でき、対象物の寸法等が計測できることを確認しました。本技術を用いることで、広範囲の水中構造物等の調査を容易に、高精度かつ低コストで行うことができます。
また、水中ドローンによる撮影写真のほか、潜水士による撮影や水上からロッドに取り付けたカメラを水中に降ろして撮影した写真でも高品質な水中の3Dモデルを作成できることを確認しています。
本技術により、港湾構造物の破損・変形・亀裂の有無、水生生物の付着状況などをより正確に把握でき、更には定期的な調査に用いることで、構造物の経時変化を把握できることから、港湾構造物の維持管理に非常に有効な方法であると考えています。
※1 写真上の像の位置ズレをなくし、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換(正射変換)したもの。
今後の展開
港湾構造物の維持管理は今後ますます重要性が増していくことが予想されます。
今後は、写真撮影を行っている水中ドローンの自動制御や後処理で行っている解析作業のリアルタイム化を行うとともに、水中ドローンに搭載した非接触センサで岸壁の劣化状態を計測するなど、更なる維持管理の効率化に取り組む予定です。
陽極部の3Dモデル
オルソ画像
水中ドローン「BlueROV2オクトパス」
資料引用:東亜建設工業
おわりに
昨今、空のドローン免許制度にクローズアップされますが、意外に2023年現在では、水中ドローンの「免許」は必要がありません。
水中ドローンは、安定した潜航を保てる高性能な制御装置を搭載し、操作も簡単な機体なので、初心者の方でも安心して操縦することが可能ですが、安全に操作できる技術と知識が重要です。
また、特別な水中ドローンの使用にあたり、許可申請を取る必要もありませんが、港の作業や船舶の航行に関する法律がありますので、海では海上保安署、河川敷では河川を管理する事務所などに一報入れておく等の対応が求められます。
日本は、領海及び排他的経済水域の面積で世界6位、体積では世界4位に位置する海洋国家でありますが、水中ドローンの需要が高まり広がりを見せる中で万が一の事故を未然に防ぐために、現在では運用モラルの向上が課題となっています。
そこで、一社)日本水中ドローン協会が認定を行う認定資格である水中ドローン安全潜航操縦士は、水中ドローンを取扱う上での正しい知識は勿論、操縦訓練や運用方法について基礎から身につけることができます。これからの水中産業の発展と成長に伴って必要となる水中ドローン人材の育成を行うため2019年にスタートしました。
座学講習では、水中ドローンの概要からこれからの市場について、運用する際に注意が必要な関連法規について、実際に運用する際の注意点や環境の知識や、安全に運航を行うための安全管理について講習を行います。実技実習では、水中ドローンの操縦が初めての方でも受講可能な、基本的な機器の扱い方から、操縦のポイント、機体からつながるケーブルの扱い方、現場での運用実践に役立つ内容までを1日で習得できます。
水インフラの定期点検は現在、そして将来に必要となります。あなたも水の目を操作してみませんか?
参考・関連情報・お問い合わせなど
□東亜建設工業株式会社
経営企画本部 経営企画部広報室 北川 欽一
リリースニュース:
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TEL:03‐6757‐3821 / FAX:03‐6757‐3830
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□一般社団法人 日本水中ドローン協会
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