概要
株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)は、大阪市の咲洲において自律・自動飛行するドローンの空撮画像データをリアルタイムにAI解析することで、道路や駐車スペースの車両台数を判定、データ連携による混雑度見える化の実証実験※1を実行した模様をお送りします。
自動飛行型ドローンで建設工事や移動・搬送の円滑化へ
本実証実験は、2025年大阪・関西万博会場の建設工事が今春から開始されるのに先立ち、建設工事や移動・搬送の円滑化にドローンを活用することの実現性を示し、適切な運用のノウハウを習得するものです。
実証実験では、建物屋上にドローン用のポートを構築し、そこから自律・自動飛行するドローンで、周辺道路や敷地内駐車スペースをホバリング中に空撮、画像をAI解析して車両台数をカウントすることで混雑度の見える化を行いました。
また空撮画像内で車両台数をカウントしたいエリアを指定出来るツールも開発しました。
ドローン空撮画像による車両台数の判定には、ドローンの自立・自動飛行とホバリング、適切な高度や角度による撮影が求められます。
今回これらのノウハウを蓄積するとともに、空撮画像AI解析による車両混雑度把握が可能で、
実プロジェクトに適用できるレベルにあることを検証することができました。
これまで混雑度を把握したい場合には、道路に固定センサーを設置して走行車両を検知する手法や、駐車スペースでは入退車両計測等による手法が一般的でした。
今回のドローン空撮による見える化は、日々変化する建設現場内や周囲の駐車環境を想定し、自由度が高く、必要な時に必要な場所の状況を把握できるドローンを用いた空撮画像で評価できることが特長です。
実施にあたっては、NTTコミュニケーションズ株式会社がLTE上空利用プラン※2を用いて、
ドローンの空撮データに対してリアルタイムAI解析を実施し、得られた車両台数データをもとに、
株式会社三菱総合研究所がダッシュボード※3上で混雑度の見える化を行いました。
ドローンの飛行にあたっては、株式会社センシンロボティクスがドローンの飛行地域の局所のAI気象予測※4を活用して、ドローン飛行可否判定のうえ自律・自動飛行を行いました。
また関西電力株式会社は、人手によるバッテリー交換の必要がなくポートに着陸するだけでドローンに自動充電が可能な非接触充電を検証しました。
これらの実施においては今回の実証実験で提供されたデータ連携基盤を利用して、データ連携を行いました。竹中工務店は今後、本実証実験で得られた知見を活かし、夢洲地区をはじめ様々な地域で多様なドローンの活用による建設工事や移動・搬送の円滑化を図っていくとともに、その先のスマートシティにおけるソリューション展開にもつなげていきます。
※1 本実証実験は、内閣府による令和4年度「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」に採択された「夢洲プラットフォームの構築」の一環です。
竹中工務店は「夢洲プラットフォーム検討協議会」の一員として非接触充電(ドローン)に参画しています。実証実施期間は2022年12月12日~14日。
※2 総務省で定められた携帯電話の上空利用に関する技術要件を満たしたデータ通信プラン。
※3 さまざまな情報やデータを画面上で可視化するツール。
※4 大阪ガス株式会社にて実施。
資料引用:竹中工務店
おわりに
万博後にドローン空撮画像AI解析により道路や駐車スペースの混雑度を見える化が実用展開されたと仮定した場合、考えられる未来の日常とはどんなものでしょうか。
たとえば、交通事故の減少や効率的な交通制御が挙げられます。ドローンが道路状況を空から自動監視し、交通量の変化や渋滞などの問題を早期に発見することで、ドライバーに警告や案内を提供、これにより、事故の発生リスクを低減できる可能性もあるでしょう。さらに、こうも考えれるでしょう。車両の渋滞が減少することは、大気汚染や燃料消費量の削減に貢献できるかもしれません。
そして、上空の監視カメラという意味から防犯として現に利用されている事例もあります。
しかし、考えてみれば、上空から自動制御されたドローンが常に監視された日常は、個人情報の保護やプライバシーの問題など、様々な複雑な課題があるため、広域な利用範囲は限定的でしょう。
2025年4月13日開幕の大阪・関西万博では、どんな未来像を提示されるのか注視したいと思います。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□株式会社竹中工務店
リリースニュース:
https://www.takenaka.co.jp/news/2023/04/01/