A.L.I. Technologies
国土交通省3D都市モデルを活用したドローンの自律飛行システムの実証を完了。

sugitec

概要

株式会社A.L.I. Technologies(以下、「A.L.I.」)は、国土交通省都市局が主導する「Project PLATEAU(以下、プロジェクトプラトー)」の一環として、山梨県甲府市にてSLAM技術と3D都市モデルを活用したドローンの自律飛行システムに関する取り組みを実施し、無事に完了というリリースニュースをお届けします。

A.L.I. Technologies ✕ Project PLATEAU

実証実験の背景

2020年度から国土交通省都市局が主体となり、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を
目的としたプロジェクトプラトーが開始されました。
A.L.I.では本プロジェクト立ち上げ初年度から、3D都市モデルにおけるドローンを活用したユースケースを創出する取り組みに参加してまいりました。

過去の取り組みでは、プロジェクトプラトーの立体情報を持った都市空間の中で、都市の空域を飛行するドローンのフライトシュミレーターを開発いたしました。

この技術をA.L.I.の運航管理サービスシステム「COSMOS*」に組み込むことで、ビル群が乱立する複雑な都市上空においてもドローンのオペレーションリスクを飛行前に検証することが可能です。
また安全が担保された航行ルートは、「COSMOS」により実際のフライトルートとして使用することもできます。

*COSMOS: Centralized Operating System for Managing Open Sky

写真:山梨県庁舎屋上から周辺をドローンが飛行する様子

2022年12月からの航空法改正により、都市部における目視外飛行(「有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行」、通称:レベル4)が解禁されました。
これに伴い、建物が密集した都市部の中においても、安全に目視外飛行が実現できるシステムの必要性が生じました。

そこで、A.L.I.は本年度のプロジェクトプラトーで、ドローンが利用する空域に障害物が多数存在する都市部の環境でも正確な飛行を実現するために、SLAM(自己位置推定と環境地図作成)技術とA.L.I.が開発した自律飛行システムを組み合わせ、レベル4飛行の実現を見据えた飛行実証を行いました。

実証実験取組内容

2022年度までのプラトープロジェクトでは、既に60近くの都市が3D都市モデル化されております。
今回の実証事業に協力いただいた山梨県甲府市は、本年度のプロジェクトプラトーにて、新たに3D都市モデル化される都市に加わることが決定しています。
3D都市モデルはCityGMLというフォーマットで整備されております。
すでに県庁周辺のエリアはCityGMLを用いて、バーチャル空間上で都市が再現できており、本プロジェクトでは、山梨県庁周辺のCityGMLデータを使用しました。

写真:(左)米国Cesium GS inc社製の3Dマップ (右)プラトープロジェクトによる3D都市モデル

一般的なドローンではGPSを使用して自己位置を把握していることが多いものの、GPSでは受信状態や、大気の影響、電波の反社(マルチパス)によって数メートルから数十メートル単位のズレが発生することもありえます。
そのため、LEVEL4での飛行が当たり前になり、都市部の中をドローンが飛び交う未来において、誤差が大きいGPSのみに依存すると、ドローンが周囲の建物にぶつかってしまうことなどが予想されます。
そこで、ドローンに取り付けられたLiDARセンサーとステレオカメラから取得された周辺のスキャンデータを使って、飛行中のリアルタイム周辺測位を行いました。CityGMLデータとリアルタイム周辺測位2つを照らし合わせることで、SLAM単体よりも精度高く自己位置の推定を可能にするシステムの実証を行いました。

写真:左がプラトープロジェクトのCityGMLデータを使ったバーチャル上を飛行しているドローンから得られた画像で、右が実際のドローンに取り付けられたカメラからの映像をもとに特徴点を検出している様子

本実証の将来性

2022年12月の航空法改正によりレベル4飛行が解禁されたため、市街地上空でドローンが飛行できることになりました。そのため今までより安全に配慮した運用体制が求められます。

ドローンの飛行においては手動飛行の際はもちろん、自律飛行中にも予定した航路から外れることがあります。飛行ルートから外れた際に安全に危機回避し、予定のルート上に復帰させる技術が求められます。これから活用が進む都市部では建物などの構造物が多いため、回避した先に別の危険因子があって重大な事故につながってしまう可能性も考えられます。そのため、今までよりも高度なリスク回避の技術が求められます。

本実証で立証した3D都市モデルとSLAMを掛け合わせる技術と自律飛行システムを用いることで前述したようなリスクを軽減できます。これにより、レベル4飛行が当然のように行われる時代においても安心・安全が担保されたドローンのオペレーションが実現されると考えています。A.L.I.は、これからも来るべき空の産業革命に向けた取り組みを多角的な視点から行ってまいります。

資料引用:A.L.I. Technologies

おわりに

この国土交通省都市局が主導するProject PLATEAUは、2022年度までに 3D都市モデルの整備範囲を全国100都市以上に拡大するとともに、官民の多様な領域で様々なユースケースが開発され、その社会実装が進んでいます。
ちなみに、京都市は2023年に新たにネット上の仮想空間「メタバース」の技術で仮想「京都市」を構築しています。京都市のメタバースは、作成済みの3D都市モデルを利用したヴァーチャル観光や文化交流を推進しています。

観光都市の京都にとっては、都市部でのレベル4飛行の運用体制までは、まだ先の話なのでしょうか…。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□株式会社A.L.I. Technologies
A.L.I. Technologiesは、「空中域(地面と空のあいだ、人の生活範囲の空中)から社会の仕組みを変えていく」をスローガンに、エアモビリティプラットフォームとなる管制アプリケーション「COSMOS」、実用型ホバーバイク「XTURISMO」を展開しています。
A.L.I. Technologiesは、既存の発想に捉われず、エアモビリティ(有人・無人)社会の実現に必要なシステムをグローバルに発信する日本発のスタートアップ企業として、イノベーションを起こし続けてまいります。

リリースニュース:
https://ali.jp/2023/03/31/12393/
公式サイト:https://ali.jp/
問い合わせ(広報担当):info@ali.jp

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