大成建設✕エーエス
新型高性能機器免震装置「TASSユニット®」を開発。

sugitec

概要

大成建設株式会社(以下、大成建設)と株式会社エーエス(以下、エーエス)は、2009年に共同開発した半導体製造装置向け高性能免震装置「TASSユニット」を改良し、この度、様々な形状の半導体製造装置に対応でき、短期で納品が可能となる新型TASSユニットを開発、というリリースニュースをお届けします。

日本の半導体製造の環境を支える「TASSユニット」

昨今の半導体不足は各分野で広く影響が生じる中、国内のトピックスとしては挙げられるのが、経済産業省(以下経産省)が11月11日、「次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けた取組」として、日本政府が最新の半導体製造技術を開発する「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」という新しい研究開発組織を発足すると発表とその実行部隊となる製造企業としてキオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTなどが出資して設立した「Rapidus株式会社(以下、Rapidus)を選定したことだろう。

今後、LSTCで次世代の半導体製造技術の開発を行ない、Rapidusが実際に製造を担当することで、日本に最先端の半導体製造の環境を再び実現しようという国策表明である。
経産省が発表した資料によれば、まず経産省が「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」という研究開発組織を立ち上げる。

このLSTCでは、日本政府と米国政府が合意した「半導体協力基本原則」に基づいて、日米が共同で最先端半導体技術を開発していくことになる。
LSTCには米国のNTSC(National Science and Technology Council)やIBMなどの米国の機関や企業、そして国内の学術研究機関や半導体産業関連の企業などが参加して、最先端プロセスノードを開発し、その成果を事業会社となるRapidusに渡すというのが基本的なスキームになっている。

このRapidusにはキオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTが10億円ずつ、そして三菱UFJ銀行が3億円出資しており、最終的にはファブレスの半導体メーカーから委託されて半導体の受託生産を行う、つまりTSMCやSamsung、Intelという現在世界に3社しかない最先端プロセスノードで製造を行なうファウンドリになるというのがRapidusの目指すという野心が込められている。

しかし、水源は豊富にあるものの、地震大国である日本にとって、半導体を製造する工場に免震環境を施し、半導体製造装置の形状や重量配置に合わせて免震装置が必要となってきます。

折しも、大成建設とエーエスは、2009年に共同開発した半導体製造装置向け高性能免震装置「TASSユニット」を改良、この度、様々な形状の半導体製造装置に対応でき、短期で納品が可能となる新型TASSユニット開発を完成させます。

免震装置の共通ユニット化と設置架台の合理化により、従来型の免震性能を維持したまま製作期間が従来の半分に短縮され、半導体装置を設置した架台の歩行振動も抑制されるなど、安定した半導体製造が可能となり生産性向上を図ることができます。

地震時の揺れを低減し半導体製造装置の損傷を防ぐTASSユニットは2009年の初適用以来、国内および台湾において既に3000台以上が採用され、継続的に納入実績を伸ばしています。

しかし、従来型TASSユニットは、半導体製造装置の形状や重量配置に合わせて免震装置(支承ユニット)を個別に設計しており、その製作納期が半導体の製造開始に直接影響を及ぼしていました。

そこで両社は、従来型では一体で製作していた、転がり支承と設置架台を分離製作(現場組立)する方式に改良し、転がり支承の共通ユニット化と設置架台の合理化によって、様々なタイプの半導体製造装置に対応できる新型TASSユニットを開発しました。

新型TASSユニットの特徴および期待される効果は以下のとおりです。(図1、表1参照)

特徴

転がり支承を共通ユニット化
一台あたり8組の車輪とレールが一体となった自立可能な小型の転がり支承を共通ユニット化することにより、支承の最適配置と部品のストック等が可能となります。

鉄骨構造の設置架台を合理化(分離製作と合理的構造)
設置架台は、従来型とは異なりH形鋼を使用した連結可能な合理的な鉄骨構造としており、支承ユニットとは分離製作しているため、半導体製造装置の形状などに合わせて容易に製作可能です。
また、設置架台の剛性は従来型より3〜5倍程度向上します。

期待される効果

製作期間を従来型の約半分に短縮
転がり支承の共通ユニット化と設置架台の分離製作により、免震装置を受注してからの製作期間を従来型の2~3か月から約半分の1~1.5か月に短縮可能です。

歩行振動を抑制
設置架台の剛性が向上したことにより、半導体装置を設置した架台の歩行振動が抑制されるため、半導体製造プロセスに与える影響を低減することが可能となります。

今後、両社は、新型TASSユニットを半導体製造装置向け高性能免震装置「TASSユニット」のラインアップに加え、国内外を問わず広く普及展開してまいります。

図1 「転がり支承の共通ユニット化」と「設置架台の合理化」
表1 従来型と新型の比較

資料引用:大成建設


参考・関連情報・お問い合わせなど

□大成建設株式会社
リリースニュース:
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2022/221122_9144.html
□株式会社エーエス
https://www.a-sys.co.jp/

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