大成建設 原位置での固化改良地盤強度試験装置「T-GeoPenester」を開発。

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概要

大成建設が新たに開発した、早期に地盤強度を把握し、改良地盤の性能評価向上と施工リスク低減を実現できる「T-GeoPenester」を紹介。


大成建設株式会社(東京都 以下、大成建設)は、軟弱地盤にセメント等の固化材を添加・混合した固化改良地盤の強度を原位置で直接測定する「T-GeoPenester」を開発しました。

本装置は原位置地盤に設けた孔内を深度方向および円周方向に自動で移動し、地盤強度を推定する針貫入試験※1を行うことで、容易に多点の実測強度分布データを取得できます。

また、本装置の適用により、早期に地盤強度を把握でき、固化改良地盤の性能評価を向上させ、施工の手戻りリスクの低減が図れます。

T-GeoPenesterを開発するまでの経緯

エネルギー関連施設や上水道・下水処理施設、廃棄物処理施設などの社会基盤施設の建設に際しては強固な地盤の立地が必要であり、その対策工事として地盤改良工事が行われています。

このうち地盤に固化材等を添加・混合して強度を高める固化改良工法※2では、これまで改良地盤の性能を評価するために、施工後に原位置でコアボーリング※3を行い、その採取した試料の一軸圧縮試験※4で地盤強度を確認するのが一般的でした。

しかし、この方法はボーリングに加え、試料の運搬・切出し・整形など測定までに最低でも2日間を要し、コアボーリング試料から採取可能な試験体数は、1mあたり最大9体程度※5でした。

さらに、一軸圧縮試験による地盤強度は、多くが施工から28日後に確認するよう規定されており※6
改良地盤の強度不足が判明した場合には、工期への影響は避けられない状況となっていました。

そこで、地盤に設けた孔内で深度方向および円周方向に自動で上下移動・回転し、地盤強度を推定する針貫入試験を行うことにより、原位置で多点の実測強度分布データを容易に取得できる測定装置「T-GeoPenester」を開発しました。

T-GeoPenesterによる測定では、貫入針を搭載した円柱形貫入装置を用いて以下の一連の動作を自動で繰り返し、1箇所あたり約2分の測定時間で複数の測定位置の地盤強度を迅速に把握します。(図参照)

資料引用:大成建設株式会社より T-GeoPenesterの構造および測定方法

1.固化改良地盤に設けた孔内に貫入装置を挿入して、所定の測定位置まで自動で移動
2.反力装置により貫入装置を測定位置に固定
3.孔壁に向けて針の貫入、引抜きを実施し、地盤強度を測定

T-GeoPenesterの特徴および導入効果

固化改良地盤の性能評価を向上

深度方向の測定間隔を2cmとした場合、1mあたり50点の強度分布データを約1時間半で取得でき、その詳細な強度分布データにより、精度の高い地盤強度の検証が可能で、従来は安全側の対応として多めに添加・混合されていた固化材量の低減が可能となります。

また、支持力向上や変形抑制などへの活用も可能で、目的に応じて性能評価の向上を図ることができます。

早期材齢による地盤強度推定で施工の手戻りリスクを低減

T-GeoPenesterは、同一孔内の同一深度で貫入装置を円周に沿ってわずかに回転させることで何度でも繰り返し地盤強度を測定できるため、同一箇所※7での経時的な強度変化の把握が可能です。

また、施工後1週間程度の早期材齢の地盤強度から、28日後の材齢強度を精度よく推定し、地盤強度の確認時期を早めることで、地盤改良における施工の手戻りリスクを低減できます。

資料引用:大成建設株式会社より 従来と本装置による地盤強度測定方法等の比較

今後、大成建設は、T-GeoPenesterをセメント等の固化材を添加・混合して補強した地盤改良工事に積極的に展開することで性能評価技術の向上を図るとともに、品質管理や施工におけるリスク低減などに活用していく方針です。

日本国内の超高層ビルからスタジアム、さらにはダム、橋、トンネル、地下鉄などの大規模なインフラ建築と土木工事を手掛け、海外でのパーム・アイランドの海底トンネル、ボスポラス海峡海底トンネル、アルマスタワー建設といった傑出した実績を成しえてきた大成建設だからこそ、建造物の土台となる地盤強度を重視する姿勢は、明治から脈々と引く継がれていると感じました。

おわりに「ボスポラス海峡トンネル篇」CMを添えて。
本日も読んでいただき、ありがとうございました。


参照・説明

※1
針貫入試験
JGS 3431-2012で定められる試験方法。試験対象に直径0.84mmのもめん針を貫入し、貫入荷重と貫入長さの比から針貫入勾配を求める。

※2
固化改良工法
軟弱地盤にセメント系や石灰系等の固化材を添加・混合、あるいは薬液を注入して土の性状や強度を改善する工法。

※3
コアボーリング
対象地盤を管状ビットで削孔し、細長いコア状(円柱状)の試料を採取する。

※4
一軸圧縮試験
JIS A 1216で定められる試験方法。自立する円柱供試体を圧縮する試験であり、その最大圧縮応力を一軸圧縮強さとして求める。

※5
供試体1体あたりの高さを10cmとした場合の数量。コアボーリング試料から採取可能な供試体の数は、亀裂の有無などコアの状態に大きく依存する。

※6
固化改良地盤の要求性能は、施工後28日経過時の強度で規定されることが多く、施工から28日後に一軸圧縮試験を行って強度を確認する。

※7
孔内深度は貫入装置を吊下げるワイヤー巻き付けドラムに搭載したエンコーダー、回転方向は貫入装置に搭載した方位センサーを用い、測定位置を特定・管理している。

参考・関連情報・お問い合わせなど

□大成建設株式会社 https://www.taisei.co.jp/
リリース記事:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2022/220530_8797.html

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