3Dスキャナと3次元データによる計測「3Dサーフェス」を用いた法面変位計測システム

sugitec

概 要

株式会社鴻池組(以下、鴻池組)と、計測ネットサービス株式会社(以下、計測ネットサービス)が、NETIS登録技術の「3Dサーフェス(NETIS:KT-180118-A)」を用いた法面変位計測システムを開発した。システムは、三重県の造成工事現場にて実証され、その有効性が確認できたという。

スキャニング機能を搭載したTSをタブレットPCで制御

鴻池組と計測ネットサービスは、NETISの「3Dサーフェス」を活用した法面変位計測システムを開発し、実現場にて実証を行ったと発表した。

従来では、法面の面的変位計測や平坦性計測を行う際に、レーザースキャナでの点群データを取得し、取得したデータを専用ソフトで処理していた。しかし、その際に点群データの不要な箇所の除去や、膨大な点群データの分析によって結果が出力されるまでに1~2日もの作業時間を要していたという。

そのような中、今回開発された3Dサーフェスを用いた法面変位計測システムは、スキャニング機能を搭載したトータルステーション(以下、TS)をタブレットPCにより制御することで、現地で数十分程度で自動処理することが可能となり、結果の出力を遅延なく行うことが可能となった。

資料:鴻池組 URL:https://www.konoike.co.jp/news/2022/202203292952.html

この3Dサーフェスとは、スキャニング機能が搭載されたTS(Leica社製 MS60)で、基準点の自動視準による自己位置調整により、自動追尾でプリズム計測やノンプリズム計測、スキャニング機能による点群計測が可能となっている。

この3Dサーフェスを用いた法面変位計測システムは、3Dサーフェスにより取得された点群データを、メッシュの大きさに応じて自動でTIN(不規則三角網)にモデル化し、測定ポイントの標高を算出することで、前回算出した標高との差分から面的な変位量や平坦性を等高線図等に表示できる。

資料:鴻池組 URL:https://www.konoike.co.jp/news/2022/202203292952.html

実証では、法面勾配1:1.5、面積120㎡、軟岩地山の切土法面にて、従来のレーザースキャナと3Dサーフェスとの比較検証が行われた。

資料:鴻池組 URL:https://www.konoike.co.jp/news/2022/202203292952.html

□従来のレーザースキャナ
点群密度:1cm以下
測定時間:約30分
分析時間:約2日
測定精度:±20mm

□3Dサーフェス
点群密度:10cm
測定時間:約12分
分析時間:約7分(メッシュ間隔20cm)
測定精度:±15mm

結果比較は以上のようになり、3Dサーフェスの場合、測定時間・分析時間を大幅に短縮しながら、従来のレーザースキャナと同程度の測定精度が得られることが確認されている。

今回は凹凸の多い軟岩の切土法面でシステムの実証を行うことで、少ない点群データからTIN(不規則三角網)モデルを自動生成し標高を算出するロジックが複雑な法面形状に対応できることが確認された。それによって面的な変位計測や平坦性計測を自動的に30分間隔で行うこともでき、斜面崩壊の予兆を早期発見し、法面整形機械の手待ち時間をなくすことも可能になるという。

鴻池組では今後も計測ネットサービスの最新技術などを最大限に活用することで、得られた知見や技術情報を様々な取り組みに応用し、省力化や生産性向上に努めていくとしている。

参考・関連情報・お問い合わせなど

□株式会社鴻池組:https://www.konoike.co.jp/
参考プレスリリース記事:https://www.konoike.co.jp/news/2022/202203292952.html

□計測ネットサービス株式会社:https://www.keisokunet.com/

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