概 要
従来の建物の外壁調査は、現場に調査対象となる建物の紙図面を持ち込み、そこに調査した劣化情報等をその紙図面に直接手書きで記録するというのが一般的であった。最終的に、その手書きの情報を基にPCにデータ入力を行った上で成果物となる調査報告書をアウトプットする。
有限会社スギテック(以下、当社)が独自開発した「スマート検査報告書作成システムST(以下、スマートST)」は、タブレットアプリに入れた図面に調査情報を入力することで、報告書の作成までを自動化する。調査情報の手書きとその後のデータ入力の手間を省き、調査業務から報告書の作成までを効率化できるものとなっている。
システムはマルチプラットフォーム対応となっており、Apple社のiPadや各種アンドロイドタブレット、PCなど、OSに依存しない運用が可能となっている。また、データはクラウドに対応しておりそれぞれのOSで共有可能だ。
建築物外壁調査の現状
建築物の外壁調査を行う際、持ち込んだ紙図面に直接劣化情報を書き込むアナログな手法が、いまだに多くの現場で行われている。この調査方法の問題点は大きく分けて以下の3点だ。
- 手書きによる個人差
手書きする際の劣化情報のまとめ方は人により様々だ。また、まとめ方を統一していたとしても記入する文字には個人差があり、第三者がそれを判別するのに苦労したり、確認が必要になることがあるため、二度手間となる。 - 作業時に持つ必要のある道具が多くなる
従来の調査方法の場合、調査時に図面や記録用のデジタルカメラ、筆記用具など持つべき道具が多くなる。高所での作業の場合、それらの落下の危険性も増す。 - 膨大な情報をPCに入力しなければならない
図面に記録された情報は時には膨大なものとなる。それらをPCで再度入力する作業コストが掛かる上に、記録の読み間違いや数値の入力ミス等のヒューマンエラーが発生する可能性が常にある。
調査を行う作業者が調査内容を手書きで行うという時点で、そのデータの正確性には難が出てしまうのは明らかだ。それを「再度確認しながらPCに入力するという手順は二度手間であり、ヒューマンエラーの可能性をさらに高める行為になっている」と、開発を主導した当社の杉山(東京支店長)は語る。
間違った情報で報告書が作成されてしまえば、最悪の場合その後の改修工事にも影響が出る。
スマートSTについて
そこで開発されたのが当社が独自開発したスマートSTだ。タブレットアプリでもあるこのシステムは、現場で調査した劣化情報をそのままアプリの図面上で入力できる。
劣化箇所を記録する写真もタブレットのカメラで撮影することで、簡単に劣化箇所と紐付けができるようになっている。紙図面や筆記用具、デジタルカメラの携行は不要だ。
また、常時クラウドサーバーに接続されていることから、調査情報はリアルタイムにクラウド上に反映され、事務所のPCと共有することも可能である。そして調査後のデータはそのまま報告書として出力ができるようになっており、従来のように野帳をデータ化する必要がないことから、大幅な作業時間の短縮が見込める。
安全かつ圧倒的な効率化
スマートSTを活用することで、クラウド上に保存された調査情報のデータが、そのまま報告書の各種フォーマットに落とし込まれダウンロードできるようになっている。入力の手間や入力ミス自体が無くなり、かつ正確な報告書が提供可能だ。
デジタルデータとして保存されていることにより、以後の調査・補修の際には過去にその建物でどんな不具合があり、どこを補修したのか?というような情報履歴にも瞬時にアクセスできるメリットもある。これは煩雑になりやすい紙ベースの作業ではできない利点でもある。
また、調査時の持ち物が少ないことにより安全な作業ができることもメリットとしてあげられる。
スマートSTの今後
スマートSTは、建物の外壁調査だけでなく、土木業界でのコンクリート構造物のひび割れ調査にも適用できることから土木業界からの引き合いも多い。
土木業界では大規模なインフラ施設などの調査も多く、調査の効率化だけでなく、調査後の修繕についても工程管理や出来高の把握が大変になる傾向があるため、スマートSTで効率化できないかという相談を某ゼネコンよりいただき、独自に工程管理ができる機能を追加しそれらの課題を解決した。
このように建設・土木業界それぞれに特化した、より使いやすいカスタマイズ対応や、今後のシステムのバージョンアップをおこない、調査業務の効率化に貢献していく。
スマートSTのご利用について
スマートSTのご利用、またはご質問等に関しては、以下よりお問い合わせください。
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