こんにちは。2022年12月を目処とし着々と進んでいるドローンのレベル4飛行ですが、そのレベル4飛行が求められている場所のひとつとして、中山間地域等があります。
中山間地域は、都市の近郊地や平地と比べて経済的に社会的に条件が不利であることで過疎化や高齢化が進んでいます。交通の面でも不便な所があるために、ドローンを活用した配送のシステムなどのインフラ強化が求められている場所です。
高知県四万十町における孤立集落支援システムの実現
そういった地域にドローン関連技術の研究開発、ソリューション開発やAIソフトウェアの開発運用などを行う、株式会社A.L.I.Technologies(以下、A.L.I.)は、KDDI株式会社(以下、KDDI)とパーソルプロセス&テクノロジー株式会社がNEDOから受託したという「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/地域特性・拡張性を考慮した運行管理システムの実証事業」に採択されたとのこと。
NEDO公募ページ:https://www.nedo.go.jp/koubo/CD2_100235.html
高知県の四万十町との共同で、その地域性から年間通じドローンの活用可能性が高いと思われるユースケース例の実証実験を実施し、物流・防災・調査・測量、これら全ての活用実証実験に成功したと発表されています。
中山間地域の多い四万十町では、高齢化に伴って運転免許の返納が進んでいるそうです。それを背景に、ドローン配送を活用し、災害対策や安定的に物資を中山間地域へ届けられる生活インフラの強化が求められています。
実証では継続的な運行管理システムの活用での安全面、コスト構造、オペレーションフロー、地元住民の受け止め方等、ドローンが社会実装される上での様々な要因と課題を検証したとのこと。
実証ではA.L.I.独自のUAV管制システムを活用
A.L.I.が独自開発したドローンの管制システムである「C.O.S.M.O.S.(コスモス)」と運行管理統合機能(FIMS)を連携させることで、空間と飛行の緻密な一元管理が可能に。
公民館などをドローン配送の拠点にし、該当箇所から定時運行用や有事の際の航路を設定することで、自治体が主体となりドローンの空での活動を把握できるそうです。これにより安心安全で安定的なドローン物流システムを地域内で運用することが可能になるとのこと。
ドローンによる実証実験は大きく以下4点のユースケースが実証されています。
「物流ユースケースによる実証」では、高齢化に伴って免許の返納をした交通弱者が多数発生している山間部で、生活物資のドローン輸送を実施。地元民に親しまれているお店から山間地域に転々と存在する集落同士を結んだ生活必要物資のドローン定期配送を実施しています。
「防災ユースケースによる実証」では、四万十町で災害時の津波被害が想定される興津地区と東又地区は、災害時の土砂崩れの発生で興津地区が陸の孤島になる可能性が高いと言われているそうです。そこで有事の際の避難場所となる四万十町B&G海洋センターを災害支援物資運搬の出発点とし、山を超え興津へリポートへ災害支援物資のドローン運搬を実施しています。
「測量ユースケースによる実証」では、四万十町立七里小学校の裏手の森林約5haを対象とし、GPS情報を持った一眼レフカメラを搭載したドローンを航行し、森林の測量を実施しています。ドローン測量を行うことで、県のインフラ点検計画の効果をより高め、土砂崩れからの住民の安全を守るために必要な現状把握のためのデータ利用、コスト削減、時間短縮等におけるドローン活用の有効性が証明されたとのこと。
「調査ユースケースによる実証」では、大正中津川集落の生活道路であるという成川橋は老朽化が進んでおり、大規模修繕による拡幅工事が予定されているそうです。実証実験においては、工事区域内の成川橋の半径100mの範囲においてドローンを活用した上空からの事前調査を実施したとのこと。
以上、C.O.S.M.O.S.とFIMSを活用したことで、現地のオペレーション拠点、東京のA.L.I.本社、四万十超に仮設している管理センターの3拠点から、リアルタイムにドローンの運行管理を行うことに成功しています。C.O.S.M.O.S.により空間及び飛行を一元管理することが、ドローン飛行の安全性担保、現場のオペレーションコストの削減に繋がることが立証された形です。
A.L.I.では、この取り組みは実験に終わらせるのではなく、四万十町において実用化を目指す取り組みであるとしており、今後も包括連携協定に基づいて、地域と連携、協力しながら住民の課題やニーズに沿ったドローン活用システムの社会実装に貢献していくとしています。
□株式会社A.L.I. Technologies
高知県四万十町における孤立集落支援システムを実現するドローン実証実験に成功
リリース記事:https://ali.jp/2022/01/19/8933/
A.L.I.公式サイト:https://ali.jp/
お問い合わせ:infoali.jp