記事のポイント
・三菱電機株式会社(以下、三菱電機)が、同社のAI技術である「Maisart®(マイサート)」を用い、コンクリート構造物表面のひび割れを高精度に検出する「AIひび割れ自動検出技術」を開発したと発表した。
・また、道路や鉄道などの社会インフラの状態変化を三次元計測し解析する、同社の三菱インフラモニタリングシステム(以下、MMSD®)に適用することで、走行車両より撮影した画像から自動検出ができるという。
コンクリート表面のひび割れを高精度に自動検出。インフラメンテナンスの効率化に貢献
三菱電機は、同社のAI技術ブランドである「Maisart(マイサート)」を用いて、コンクリート構造物表面のひび割れを高精度に検出する「AIひび割れ自動検出技術」を開発した。
「Maisart」とは独自のアルゴリズム開発により、ディープラーニングの演算量を従来の1/30~1/100にコンパクト化することで、幅広い機器でディープラーニングを活用することを可能とする「コンパクトなAI」である。
「AIひび割れ自動検出技術」は、道路や鉄道等の社会インフラの状態変化を車両等で走行しながら三次元計測・解析する「MMSD」に適用することで、これまで現場で目視検出していたコンクリート表面のひび割れを、走行撮影した画像から自動検出できるようになる。これによりインフラメンテナンスの効率化と点検作業員の負荷軽減に貢献する。
出典:三菱電機
主な開発特長としては、1つは撮影画像から高精度にひび割れを検出できるAIの開発で、ひび割れの自動検出を実現しているという点。高密度の三次元レーザーと高解像度カメラを搭載し、走行しながら道路や鉄道などを高精度に計測するMMSDⅡで走行撮影した高精細画像データに対し、同社の豊富な知見に基づいたひび割れ領域のラベル付けで、ひび割れ検出に最適な教師データを作成する。
出典:三菱電機 MMSDⅡが時速50kmで走行しながら撮影したトンネル壁面写真。
AI技術「Maisart」の一つとして複数の学習モデルを組み合わせた独自構造のAIを新たに開発し、ひび割れ領域をAIに重点的に学習させることで、検出精度を向上し、ひび割れの自動検出を実現している。
2つ目は、MMSDⅡで撮影した画像データでの自動検出において、0.1mm以上のひび割れ検出率95.9%を達成している点。点検作業に必要となる変状展開図作成の効率化を実現している。
出典:三菱電機
同社では、国交省の「AI開発支援プラットフォーム」開設準備ワーキングに参画。AIシステムの現場実装に向けた活動を進めているそうだ。今回の技術は、2022年4月までに「MMSD計測・解析サービス」に適用し、作業員の目視作業の負担軽減や点検時間の短縮を実現する。
今後はひび割れ以外の変状検出にも、開発技術を応用してAI抽出結果に基づいた健全性の判定機能や、アセットマネジメント機能も順次開発していき、社会インフラのライフサイクルコストの低減に貢献していくとしている。
□三菱電機株式会社
コンクリート表面のひび割れを高精度に自動検出し、インフラメンテナンスの効率化に貢献
リリース記事:https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2021/pdf/1104-a.pdf
三菱インフラモニタリングシステム MMSD
https://www.mitsubishielectric.co.jp/mmsd/