竹中工務店、一般流通材で大スパン建物を実現する新木架構システム開発

sugitec

記事のポイント

・株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)は、戸建住宅用の一般流通材を活用し、オフィスなどの大スパンの建物を実現する新木架構システムの「ダブルティンバー」を開発したと発表した。

・システムは現在同社で施工中の小規模オフィス、北海道地区FMセンターに初適用されるという。

純木造建築により国産地域材活用や脱炭素の推進に貢献するシステム

現在の日本では戦後に植林された人工林が本格的な伐採期を迎えている。全国で国産材の活用に向けた動きが活発になっている中、竹中工務店が新たにFMセンター建築を進めているという北海道においても、豊富な森林資源の活用ニーズが高まっているという。


出典:竹中工務店(北海道地区FMセンター)

しかし建築用材について、道内総需要量に対する道産材の利用率は22%に留まっているなど、国産地域材の活用は進んでいないというのが現状である。

また道内では、一般流通材として、小中断面(戸建住宅用の120mm角以下の柱材、幅寸法120mm以下かつ高さ寸法420mmを超える梁材)集成材の生産加工体制は充実しているが、大スパンの建物に使用できる大断面(120mmを超える柱材、幅寸法が120mmを超える、また高さ寸法が420mmを超える梁材)集成材の加工体制は本州に比べ限定的であり、道内の木材を一度道内で加工して再度運び込む状況もみられるという。

開発されたダブルティンバーは、オフィスなどの非住宅分野の建物でも戸建住宅用の一般流通材を使用し、かつ地元の住宅を専門にしてきた協力会社が施工できるため、道内に限らず全国各地の国産地域材の地産地消に貢献できる木架構システムとなっている。

ダブルティンバーの採用によって、大断面集成材で計画した場合と比較し、40%程度のコスト削減が可能になるという。また鉄骨材で計画した同規模の建築と比較し、CO2排出量を70%程度削減することができるとのことだ。

システム概要

ダブルティンバーは梁と柱をそれぞれ二重部材構成によって二重柱、二列梁とすることによって、荷重分散を図り部材の小断面化を実現するものとなっている。また二列梁を受ける直交梁を二段階配置にすることで、荷重を上下梁へと分散させ、それぞれの梁断面を小さくすることができる。

さらにダブルティンバーは、設計・調達・製作・施工の各フェーズにおいて特殊技術を必要としない汎用性の高いシステムとなっており、地元の協力会社などが容易に工事に適用できるという。


出典:竹中工務店

在来軸組工法では、柱から柱までの間に一本の梁を架け渡すことが一般的だが、ダブルティンバーで採用されている梁の構造は、連続して配置した梁の両端部の接合位置をあえてスパンの内側に寄せた架構となっている。

これによって接合部間をつなぐ梁スパンを短くし、荷重による変形を低減することで梁断面を小さくする工夫がなされている。更にこれらの梁を二列または二段とすることで、一層の小断面化を実現している。


出典:竹中工務店

システム特長

1.汎用性の高いシステム
在来軸組工法を応用し、設計・調達・製作・施工の各フェーズにおいて特殊技術を必要としない汎用性の高いシステム
2.耐震性と執務空間確保の両立
集約配置したニ重筋交により、耐震性を確保しながら必要執務空間確保の両立が可能であり、オフィスなどの非住宅と親和性が高い。
3.国産地域材採用率100%
小中断面集成材のみで構成することにより、構造部材について国産地域材(今回は道産材)採用率100%を実現。
4.コスト40%程度低減
一般流通材のみで架構を構成することにより、構造用集成材の単価を40%程度低減。
5.CO2排出量を70%程度削減
同規模の鉄骨造建物と比較すると、建設工事におけるCO2排出量を70%程度削減。

竹中工務店では「森林資源と地域経済の持続可能な好循環」を目指す森林グランドサイクルRを推進しており、今後、ダブルティンバーを展開することで、全国各地の国産地域材活用促進に貢献するとともに、事業における木材の積極的な活用を通して、SDGsや脱炭素など国際的社会課題の解決を目指していくとのことだ。


□株式会社竹中工務店
一般流通材で大スパンの建物を実現する新木架構システム「ダブルティンバー」を開発
リリース記事:https://www.takenaka.co.jp/news/2021/07/05/

新技術紹介
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました