ドローン検査新時代、超広帯域レーダシステムで煙突壁表層の材料肉厚検査に成功

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記事のポイント

・株式会社車輪の再発見は、大阪大学大学院基礎工学研究科の永妻忠夫教授、易利(イ・リ)助教、大学院生の為則勇志氏、徳永遥氏、JFE商事エレクトロニクス株式会社との共同で、これまでドローンに搭載可能な「超広帯域レーダ技術」の開発を推進してきた。

・この度、出光興産株式会社徳山事業所の協力のもと、定期点検中の高さ150mの煙突を実証フィールドとして提供を受け、煙突内で超広帯域レーダを搭載したドローンを飛行させ、煙突壁の表層に施されたライニング材※1 の肉厚検査に成功した。

超広帯域ミリ波レーダシステムにより目視検査代替から一歩進んだ構造解析を実現

昨今では、様々な分野でドローンに高精細カメラや赤外線カメラを搭載したインフラ構造物等の点検や診断を行う事例が増えている。物体の表面を観察するには、可視光や赤外線が適しているが、物体の内部を調査するには、物質に対する透過能力のあるマイクロ波やミリ波などの電波を用いることが必要となる。

工場で使用されている煙突は定期点検が行われており、特に煙突内壁の損傷や劣化を早期発見し補修する必要がある。煙突内壁には耐酸や耐火のためのライニング材が使用されているが、これまで内壁を非接触で行う検査では目視やカメラによる表面観察に留まっており、ライニング材の厚みを非破壊で検査する技術が求められていたが、これまで電波を使ったレーダ技術によってライニング材の厚み計測に成功した例はなかったという。

[aside type=”boader”] ※1 ライニング材
ライニングとは物体表面に定着可能な物質を熱く覆う表面処理のこと。煙突の場合、耐熱や防食のため、約50mm~150mm厚のライニング材が金属の表面を覆っている。ライニング材としては天然抗火石、キャスタブル、耐熱耐酸レンガ等が用いられている。[/aside]


出典:車輪の再発見

ミリ波レーダには、主に車載用に開発されたミリ波レーダ(24GHz、60GHz、77GHz、79GHz)があり、これらはよく知られているレーダとなるが、いずれも電波の周波数と帯域の制限から、物質の透過能力と分解能が不足しており、煙突内壁の診断には適用することができなかった。

この度開発されたドローン搭載可能なレーダシステムでは、1GHz~1000GHzの任意の周波数と帯域に対応することが可能となった。事前実験では、煙突内壁のライニング材の肉厚を検査するためには4GHz~40GHzの帯域が最適であることが明らかになり、この帯域内で効率的に動作する送受信素子をドローンに搭載した。

↓(a)ドローンに搭載した広帯域ミリ波レーダの外観。(b)~(d)煙突内で実際にドローンを操縦し、ドローンを上昇させながら煙突内壁を検査している様子。(d)上方に煙突の開口が見えている。


出典:車輪の再発見

今回実施された実証実験では、建築物、設備、プラント、インフラの分野において、肉眼では見えなかったリスクの可視化が可能となるほか、点検、修理のための人手不足の課題解消、点検作業の経済性、効率性、安全性を高めることが期待されている。

↓測定結果例:(a)ある点での電波反射の様子。ライニング材表面からと裏面からの反射波が観測され、その差から厚みは76mmと見積もられる。(b)煙突の円周方向のライニング厚を画像化した例。


出典:車輪の再発見


□株式会社車輪の再発見
【ドローン検査新時代】ドローン搭載用超広帯域レーダ・システム煙突内壁を非接触・非破壊での透視に成功【世界初】
リリース記事:http://www.rediscovery.co.jp/?p=3162

□JFE商事エレクトロニクス株式会社:https://www.jfe-shoji-ele.co.jp/

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