記事のポイント
・KDDIは、市街地などにおけるドローン目視外飛行（レベル4運航）の実現に向け、複数のドローン事業者のドローンが飛び交う状況における衝突回避などを行い、安全な飛行を実現するKDDIスマートドローンの管制システムを開発した。
・尚、管制システムは2021年度から運用が開始される予定で、2021年3月7日にはシステムの実証実験が行われ、成果を得たという。
全国3地域、全9機のドローンが同時飛行。飛行管制を行う実証実験に成功
政府では、ドローンの利活用拡大を目指したドローンのレベル4運航の2022年度での実現に向け法整備を進めている。一方、KDDIでは政府が定めたロードマップに則り、4G LTEなどモバイルネットワーク通信でドローンを遠隔制御し、安全な長距離飛行をひつ現するプラットフォームである「KDDIスマートドローン」を開発・提供している。
レベル4運航については、ドローンの運航を担う事業者が自社のドローンを管制するシステムが必要となるが、KDDIでもKDDIスマートドローンでの管制システムの実装を目指して開発が進められてきた。
出典：KDDI
今回の管制システムは、ドローンの運行事業者が保有している複数のドローンを同時飛行させる際に、管理者がドローン同士の衝突回避などの管制を行うためのシステムだ。
KDDIスマートドローンや、その他の制御システムで運航するドローン、ヘリコプターなどの有人機の飛行情報を収集することで、例えば各事業者が配送や巡回警備など、複数の目的でドローンを運航させている場合でも、各事業者間が連携し、お互いのドローンを安全に運航させることができるようになる。
またKDDIは、パーソナルプロセス＆テクノロジー株式会社（以下、パーソナルP&T）とともに、2021年3月7日に兵庫県・三重県・宮城県の3地域で全9機のドローンが異なるシナリオで同時飛行する実証実験を実施した。この実証により、全9機のドローンの飛行状況を収集し、各地域で飛行回避などの飛行管制が行えることが確認されたという。
なお、この実証実験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）より受託した「無人航空機の運行管理システム及び衝突回避技術の開発/地域特性・拡張性を考慮した運行管理システムの実証事業」の一環で実施された。
実証実験の実施エリア
出典：KDDI
各実証について
兵庫県での実証実験
1.医薬品配送（参加パートナー：日本航空株式会社、KDDI）
2.巡回整備（参加パートナー：セコム株式会社、KDDI）
3.太陽光パネル点検（参加パートナー：株式会社旭テクノロジー、KDDI）
4.スポーツ空撮（参加パートナー：レッドドットドローンジャパン株式会社、KDDI）
出典：KDDI
三重県での実証実験
1.災害時広域被害状況把握（参加パートナー：国際航空業株式会社、JAXA、株式会社ウェザーニューズ、KDDI）
2.災害時設備点検（参加パートナー：KDDI、JAXA、株式会社ウェザーニューズ）
出典：KDDI
宮城県での実証実験
1.有害鳥獣探索（参加パートナー：パーソナルP&T、イームズロボティクス株式会社）
2.物資配送（参加パートナー：パーソナルP&T、イームズロボティクス株式会社）
3.橋梁・建物点検（参加パートナー：パーソナルP&T、イームズロボティクス株式会社）
出典：KDDI
KDDIでは、今後も日本全国でさまざまな実証実験を重ねていき、2021年度中のシステムの運用開始を目指しているという。
□KDDI株式会社
複数のドローンを管制し、安全な同時飛行を実現する「KDDIスマートドローン」の管制システムを開発
リリース記事：https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2021/03/25/5026.html
