既存インフラ構造物の維持管理における施工管理の効率化

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記事のポイント

・株式会社奥村組(以下、奥村組)は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、伊藤忠TS)の協力で、既存インフラ構造物の維持管理工事における施工管理を効率化する補修・補強材料のトレーサビリティシステムを開発した。

・システムは道路トンネルのコンクリート剥落箇所の修復工事において行った断面修復作業に適用・試行が行われ、その有効性が確認されたという。

補修・補強材料のトレーサビリティシステム。既存インフラ構造物維持工事の施工管理効率化

奥村組と伊藤忠TSは、既存インフラ構造物の維持工事における各種施工情報補修集・施工管理記録の作成等の施工管理を効率化できる「補修・補強材料のトレーサビリティシステム」を開発。実現場でその有効性が確認された。

既存インフラ構造物の維持工事では、狭隘な作業スペースで且つ作業箇所が点在していることが多く、補修材料は小規模施工に適した小さい梱包サイズのものが多量に使用されている。

施工にあたっては、これら材料の搬入された数量やその使用量、構造物のどこにどの材料が使用されたか等の情報を材料の梱包単位で記録する必要性があり、非常に煩雑な上に使用する材料は急結性も高い。そして2種類以上を練り混ぜることも多く、材料の練り混ぜ後の可使時間などの品質管理情報も合わせて収集・記録する必要があり、大きな負担となっている。

さらに、現地では手書きによって情報を記録しているため、施工管理記録の作成にあたっては手書きした情報を事務所でPCへ入力しているため、多大な時間と労力を費やしているという。

一方、既存インフラ構造物の維持管理においては、過去に実施した工事の施工監理記録は必要不可欠な情報となっている。既存ストックの長寿命化を目的とした維持管理の重要性が増す中において、適切な施工情報の収集・記録・情報化が求められている状況だ。


出典:奥村組

システムでは、維持工事の計画時と材料の搬入時、作業時に情報を入力。それらを一元管理することで、施工監理記録の作成を含む施工監理の効率化を実現している。

システムの機能は、材料と作業に関する情報を入力するための「入力機能」、システム全体を管理するための「マスタ機能」、帳票を出力するための「出力機能」の3つがあり、タブレットやスマートフォン、パソコン、いずれでも使用可能だ。


出典:奥村組

また、全機能はクラウドサーバー上で稼働し、通信環境下で複数人の同時アクセスが可能となっている。トンネル内など非通信環境下でも作業時入力したデータは端末に保存されており、通信可能な状態になるとそれをクラウドサーバーへアップロードできるという。

このシステムでは、収集する施工情報が8種類に分類されている(詳細は下図)。


出典:奥村組

①の主キーは、個体識別番号をQRコード化し材料が梱包されている袋や缶に貼り付けている。搬入時にそのQRコードを読み込み、②基本情報、③製造情報、④搬入日情報を入力し関連付ける。これによって材料の入荷数量の管理や使用期限日の管理が可能となる。

作業開始時にはQRコードを読み込み、⑤作業日情報、⑥品質管理情報、⑦維持管理情報を入力し関連付けることで、練り混ぜ時間、可使時間、施工環境に応じた作業可否、配合等の情報と材料搬入時に入力した情報を相互に関連付けられる。また⑧の付帯情報は、イレギュラーな事象が発生した時などにコメントや写真を任意で登録できる。

以上のように、システムに入力したすべての情報は材料に紐づくため一元管理が可能だ。使用材料の集計記録や品質管理記録などもPDFやエクセルファイルで出力でき、項目の絞り込みも可能なため、施工管理記録の作成効率化につながるものとなっている。


出典:奥村組

システムは実現場で実証が行われ、従来の手法と比較し現場での情報収集作業と事務所での情報整理作業を合わせた全体の作業時間が、280分/日掛かっていたところ、160分/日となり、約40%の削減に繋がったという。

奥村組では、システムを既存インフラの維持工事に積極的に適用していくことでブラッシュアップを行っていくそうだ。またシステムは施設管理者の行う維持管理業務にも有用となることから、施設管理者に対し提案していくことも検討しているという。


□株式会社奥村組
補修・補強材料のトレーサビリティシステムを開発
-既存インフラ構造物の維持工事における施工管理の効率化を実現-
リリース記事:http://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/data/210331_2.pdf

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