コンクリートひび割れ解析技術「t.WAVE®」にAI自動検出機能

sugitec

記事のポイント

・大成建設株式会社(以下、大成建設)開発のコンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE」に、この度AIを活用したひび割れの自動検出機能が追加された。

・「t.WAVE」は大成建設が2008年に開発した技術で、これまで30件以上のインフラ構造物の点検業務に活用されてきた。この度のAIによる検出機能により、ひび割れ点検にかかる作業時間の短縮と費用の削減を実現した。

ひび割れの検出を高速化し、点検作業時間短縮と費用削減を実現

大成建設は、コンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE」に、AIを用いたひび割れ自動検出機能を追加した。この機能によってひび割れの点検にかかる作業時間の短縮と費用の削減を実現できる。

国内の道路橋やトンネルなどの鉄筋コンクリート造のインフラ構造物の多くは、50年以上経過しているものが多数存在しており、今後も老朽化が懸念されているという課題がある。国交省では2014年より、それら老朽化したインフラ構造物に対し法令による定期点検を義務化しており、点検時に経年劣化に伴うひび割れの有無や幅・高さなどの状況確認を行う必要がある。

これらのインフラ構造物等の点検は、従来そのほとんどが点検員が近接目視により点検を行っていたが、高所の場合、足場仮設や高所作業車などを使用し構造物の躯体表面に沿うように点検を行うため、仮設設備の準備から設置、点検、撮影、そして結果の出力までに多大な時間と費用が掛かっていた。

そのような点検の現状から、大成建設ではデジタル撮影した画像処理にウェーブレット変換という技術を国内で初めて活用し、コンクリート構造物のひび割れ画像を解析・評価する独自技術の「t.WAVE」を開発した。ウェーブレット変換とは画像内の線状の特徴範囲を抽出するのに適した画像解析技術で、ひび割れの幅や高さを定量的に評価可能とする手法だ。

この「t.WAVE」はこれまで30件以上のインフラ構造物の点検業務に活用されてきた他、2014~18年まで内閣府主管の戦略的イノベーション創造プログラムSIPに採択され、ドローン撮影画像への対応など実用性の向上に取り組んできている。

そしてこの度、この「t.WAVE」の有用性をさらに向上されるべく、AIを活用したひび割れの自動検出機能を付与し実証を行った結果、点検員の近接目視作業を無くすことで、ひび割れ点検作業の時間短縮と費用削減が実現できたという。

新しい「t.WAVE」の特徴は以下となる

1.AI活用によりひび割れの検出、トレースを自動化。点検にかかわる作業時間と費用を削減
これまで人が撮影画像を見ながらひび割れを判別し、そのトレース作業を行っていた。そこにAIを活用することで、作業が自動化され点検にかかる時間と費用の削減が可能となる。高架橋の橋脚点検で実証した結果、ひび割れの検出精度は80%以上、検出のトレース作業時間は90%程度低減され、目視点検に対する費用の50%削減を達成した。


出典:大成建設

2.ひび割れ状況を高精度に数値化・色彩化し、定量評価が可能
検出したひび割れの幅や長さを画像解析によって高精度に数値化し、経年劣化の進行状態の把握に必要なひび割れ密度などを色彩化することで、定量的な評価が可能となる。


出典:大成建設

大成建設では、今後コンクリート構造物の維持管理業務をさらに正確に迅速に、安価に実施できるようにAIの活用拡大を進めていく。そしてコンクリート構造物のひび割れ点検技術の普及を通じ、老朽化したインフラ構造物の長寿命化の実現に寄与していく

技術特集調査・保全
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました