記事のポイント
・清水建設株式会社(以下、清水建設)は、自社で施工中の虎ノ門・麻布台プロジェクトにて、AI搭載の自律型建設ロボットと人がコラボしながら工事を進める「シミズスマートシティ」を展開する。
・第一陣として投入されたのは溶接ロボットの「Robo-Welder」。地下階での鉄骨柱の溶接を経て、この度地上階で本格稼働を開始した。
人とロボットの協業。まずは溶接ロボットが投入される
港区の虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業 A街区新築工事(以下、虎ノ門・麻布台プロジェクト)を施工中の清水建設は、当該工事において人とロボットが協業する次世代型生産システムの「シミズスマートサイト」を展開する。
出典:清水建設
この度、第一陣として採用されたのは自律型溶接ロボットの「Robo-Welder」だ。現場の地下階で巨大な鉄骨柱の溶接を経て、地上階にて本格稼働を開始する。Robo-Welderは、人の腕のように動く6軸アームで、先端にある形状認識レーザーセンサと溶接作業を行うトーチを自在に操り、溶接部位の形状を確認しながら溶接する。
出典:清水建設
作業ポイントとしては、トーチから供給される溶接ワイヤー材(直径1.2mm)で、細かい紐を隙間なく巻き付けるように開先を埋めていく。この作業の制御は大阪大学と共同開発したシミュレータが担うという。
地下階で溶接された鉄骨柱の板厚は100mm。建設ロボットによる溶接実績としては国内最厚になる。また省人化効果も確認され、熟練溶接工が柱1本あたり8人/日かかる作業を5人/日で対応できたそうだ。
これから予定されている地上階の溶接作業では14台の溶接ロボットを投入し、A街区全体で約1,800kmに及ぶ溶接長の約15%の代替を計画しているという。これにより、上棟までに500人程度の省人化と夏場の溶接工の作業負荷の大幅削減を図る。
出典:清水建設
この第一陣の溶接ロボットに続く第二陣として予定されているのが、自動搬送ロボット「Robo-Carrier」だ。地上階配備のロボットが資材を積載したパレットを荷受けし、搬送用エレベータに搭載。それを施工階配備のロボットが荷受けし、所定位置まで自動搬送する。計5台が連携し、搬送するパレット数は4万体に及ぶ。
また、第三陣として四足歩行の巡回ロボットが来年早々の稼働を予定しているという。このロボットは現場内を自由自在に動き回り、映像機材を駆って出来高チェックしながら出来高の映像データを事務所へと送信することで、施工管理者が事務所に居ながらにして現場の動きが手に取るように分かるそうだ。
清水建設では、今回のプロジェクトにおいて、ロボット施工を本格的に展開するとともに、施工管理のデジタル化を進め、日本一の現場に相応しい次世代を見据えた現場運営を目指す。
□清水建設株式会社
虎ノ門・麻布台プロジェクトで自律型ロボットと人のコラボがスタート
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