記事のポイント
・株式会社ロックガレッジがドローンの熱赤外映像をAIで解析し、人影や物の位置をリアルタイムに抽出してAR/MRグラスに投影するシステム「3rd eyeドローンシステム」を開発した。
・このシステムはレスキュー活動での利用が想定されており、要救助者の位置やその状態を視覚情報として救助隊員同士で共有ができる。また、人以外の検知も対象となるので今後様々な活用方法が見込まれる。
壁の向こう側の要救助者の位置・状態を直感的に可視化できる
株式会社ロックガレッジは、ドローンからの熱赤外映像をAIで自動解析することで、捜索している要救助者の位置やその状態までをリアルタイムで特定し、AR/MRグラス上に立体的に投影できるシステム「3rd eyeドローンシステム」を新たに開発した。要救助者の情報は救助隊員同士で共有することもできる。
出典:ロックガレッジ
システムは、2021年1月8日に福島ロボットテストフィールドで実証実験が行われた。災害現場での要救助者の捜索を想定し、地上から死角となる建物の屋上に取り残された要救助者を、ドローンとAIによりリアルタイムに特定し複数人のAR/MRグラスに投影することに成功したという。
このシステムは、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構主催イノベーション創出プラットフォーム事業の採択を受けて開発が進められている事業となる。複合現実であるMR技術には株式会社mofmofの技術協力を得て開発が進められた。今後、主にイノベ地域をはじめとする消防署等と連携することでシステムの完成度を高めていくとのことだ。
開発背景
大規模災害が発生すると多数の要救助者が発生する。要救助者の生存率を高めるには72時間の壁と呼ばれる限られた時間の中で、1人でも多く救助することが重要になるが、夜間や浸水、瓦礫の散乱等で救助隊員の救助活動が大きく制約される場合がある。
そのような状況下でも効率よく初動捜索を行うために、ドローンが注目され救助の現場で活用が広がりつつあるが、ドローンが収集した情報はオペレーターが一旦集約し、タブレット端末や言語で周囲に伝達するという運用方法が主流となっている。しかしこの運用方法の場合、情報のロスや伝達の齟齬、説明作業が発生するために、一分一秒を争う救助作業にとっては非効率なものとなっているのが現状だ。
出典:ロックガレッジ
救助活動において理想的な運用としては要救助者が発見され次第、それが全救助隊員に即時伝達され、その場所までも直感的に示されることとしている。
そこで株式会社ロックガレッジは、将来的な普及が期待されているMRグラスに、ドローンとAIによって自動検出した人影の位置・姿勢を立体映像として投影するシステムを開発し、言語等を使用せずに複数人が要救助者の正確な位置を即時に直感的に把握・共有することに成功した。それが今回の「3rd eyeドローンシステム」である。
このシステムは、消防署、警察署等のレスキュー活動での利用を想定しているとのことだが、AIによる検知対象を変えることで、人以外の検知も対象とすることができるという。AI検知と位置特定のニーズは高く、点検や獣害調査等にも応用が可能とのことで、株式会社ロックガレッジではシステムに興味のある企業からの問い合わせも受け付けている。
□株式会社ロックガレッジ:https://www.rockgarage.tech/
□プレスリリース記事(PDF)
お問い合わせ先:info[@]rockgarage.tech