床から給電できるワイヤレス給電床「T-iPower Floor」

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記事のポイント

・大成建設株式会社と国立大学法人豊橋技術科学大学、大日本印刷株式会社が、小型車両やロボットにワイヤレス給電ができる内装床「T-iPower Floor」を共同開発した。

・この「T-iPower Floor」は、大成建設と豊橋技術科学大学が2013年より開発を進め、屋外走行にて実証実験の実績を重ねているワイヤレス給電床を大幅に改良したものとなる。

従来のワイヤレス給電床の床厚を半減し、施工性が向上

大成建設株式会社(以下、大成建設)と国立大学法人豊橋科学技術大学(以下、豊橋科学技術大学)、大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、汎用小型車両(以下、ビークル)やロボットに対し、床からの直接ワイヤレスで給電を実現する内装床の「T-iPower Floor」を開発した。

この「T-iPower Floor」は、大成建設とDNPが共同開発したという薄型の樹脂パネルで構築され、床厚が従来の給電床の半分でありながら同等の性能を有しているという。また、従来の給電床は塗床工法であったが、パネル工法となることから工期の短縮と工事費の削減も可能となる。

背景

近年の生産、物流施設では、生産性向上の方策として、作業員の省力化・無人化の需要が高まっていることから、屋内でのビークルやロボットが大量に導入されてきている。

しかし、これらはバッテリーで走行するために、状況に応じたバッテリーの充電や交換が必要になり、その間の稼働率が低下してしまうことになることから、ワイヤレス化等による効率的な給電システムが求められていた。

そのような中、大成建設と豊橋技術科学大学は、電気自動車等を対象に、車両のタイヤを介して電力を供給するという電界結合方式を利用したワイヤレス給電床の開発を2013年より進めてきている。これまで屋外での走行実験など実績を重ねてきたと同時に、屋内のビークルへの対応についても検討してきたという。

そしてこの度、DNPを共同会開発者に加え、屋内向けに給電床を大幅に改良することで、「T-iPower Floor」が開発された。

T-iPower Floorの特徴

1.給電床が走行中のビークル等へ電力をワイヤレスで送電
高周波電源を送電電極に接続することで、走行中のビークルなどへ電力をワイヤレスで送ることが可能となる。この給電床を実装することで、ビークルなどバッテリー充電や交換作業が不要になり、稼働率が大幅向上する。


出典:大成建設

2.薄型樹脂パネルの給電床の実装により、効率的で柔軟な車両運用が可能
給電床は、厚さ4mmの薄型樹脂パネルにテープ上の送電電極を採用。そのことから従来の半分の床厚で施工が可能だ。また、給電床が薄型化されたことで、ビークルなどが送電レーンを乗り上げて横断することも可能になることから、効率的かつ柔軟な車両運用が実現する。


出典:大成建設

3.安価で施工性に優れ、レイアウト変更も容易
給電床は薄型樹脂パネルを敷設する「薄型パネル工法」を採用している。従来の塗床工法に比べて、施工性に優れ、送電レーンのレイアウト変更も容易に対応可能な他、安価に構築できる。


出典:大成建設

大成建設は2020年度からDNPと共同で「T-iPower Floor」の内装床材としての機能開発に加えて、建物導入時の設計仕様や施工法など実用化のための技術開発を行っているそうだ。また、施設内を走行中のビークルに電力を供給するワイヤレス給電床の試験導入と運用等の実証試験を始めるとのこと。

尚、このシステムは2025年度の商品化を目指し実証が積み重ねられている。


□大成建設株式会社
薄型樹脂パネルを用いたワイヤレス給電床「T-iPower Floor」を開発
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210104_5063.html

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