こんにちは。近年、太陽光や風力、地熱、バイオマスなどの、永続的にエネルギー源として利用できるとされている再生可能エネルギーの利用が広がっています。
これは2016年のパリ協定においての「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較し2℃より低く保ち1.5℃に抑える努力をすること」から、できる限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトするという合意から、それに貢献するための動きでもあります。
特に日本では東日本大震災後からエネルギーの自給率は10%を下回っているということもあり、エネルギーの安定供給の観点からも取り組んでいくべき課題となっています。
世界に目を向けてみると、日本の再生可能エネルギーの比率は約16%となっており、ドイツやイギリス等のヨーロッパ諸外国と比較しても低水準。また、各国の主要な再生可能エネルギーは風力ですが日本では太陽光が現状では一番多くなっています。
国土の違いや、特に環境への影響や市民の理解を得る「環境アセスメント」部分の課題が制約になっているとも見られていますが、導入に向けてはそれらの事業環境整備や、洋上での風力発電の事業環境整備などが検討されています。
今後、太陽光発電のように風力発電設備も増加していくるのは間違いないと思われますが、それに伴い必要となるのが発電設備の点検業務。そんな再生可能エネルギーである風力発電の発電設備の点検技術の研究を「関西電力」が始めるとのニュースがありました。
ドローンとAI画像解析の活用による洋上風力設備の運用・維持管理技術の研究
この度、同社は「NEDO」が行う「風車用・維持管理技術高度化研究開発※1」に係る公募において、開発助成先として選定され、助成金の交付が決定したとのこと。
※1 洋上風力発電における発電・運転維持コストの低減に繋げる研究会開発への助成を目指すもの
洋上での風力発電は、エネルギーセキュリティや地球温暖化対策の観点からも重要なエネルギーであり、将来的な市場拡大が予想される分野です。
一方で洋上風力発電の実用化にあたっての課題のひとつとして、高コストが挙げられます。洋上設備の場合、基本的には専用船舶を用いた点検作業等が発生するために、維持管理において陸上の風力発電と比較すると多くの費用がかかります。
また、落雷等の原因で緊急停止してしまった場合は、天候によっては風車へのアクセスが制限され、点検・復旧までに時間がかかっていまい、その間の風車停止中の発電の損失が発生することとなります。
技術の概要・イメージ
この技術開発では、風車発電設備の緊急発電停止後の臨時点検や定期点検において、ドローンおよびAIを用いた画像解析技術を開発することにより、運用・維持管理の迅速化、効率化を図り、更に発生電量増加、点検コストの削減を達成し、日本のエネルギーミックスの実現へ貢献していくとのこと。
研究イメージ
洋上風力発電設備を対象に、落雷等の原因による緊急発電停止後のドローンによる外観全体確認および、損傷箇所のAIを用いた画像解析による損傷判定等の技術を開発し、迅速化・効率化・安全化を実現する風車の高度な次世代型運用・維持管理技術を確立。
出典:関西電力
まとめ
地球の気候変動への対処として採択されたパリ協定。世界の平均気温上昇を抑えるというものですが、これを達成するためにもこれまで以上に各国での再生可能エネルギーの拡大が重要となります。
今後、風力発電はもちろん太陽光発電や各種の再生可能エネルギーの発電装置の利用が拡大してくると思われますが、利用と合わせて今後のメンテナンス計画も重要になってくるでしょう。