こんにちは。先日滋賀県にて、荷物を積んだドローンで琵琶湖を横断するという輸送実験が行われたとのニュースが流れていました。ドローンは通常よくある形のものではなく翼を持った飛行機タイプのドローンで、彦根市より約16km離れた対岸の高島市まで時速80kmで飛行し、約15分で到着。無事に着陸できたそうです。
ちなみにこの16kmという飛行距離は国内では最長だったとのこと。若干通信機器のトラブル等があったそうですが、きちんと到着しているので、ここからさらに信頼性を高めていくことで、意外と早く活用される日がくるかもしれませんね。
さて本日は、ドローン撮影でも普通のカメラの撮影においてもそうですが、基本的にカメラは光の少ない暗い所での撮影は苦手としており、撮影した画像には粒状のノイズが多く発生し最悪は活用ができないようなものになることもあります。
そんな暗所での撮影を簡単なものにする「超高感度カメラ」を搭載した新型ドローンがリリースされたとのことなので、そちらをご紹介いたします。
屋内設備点検用ドローンIBIS(アイビス)の超高感度カメラ搭載版
この「IBIS」ですが、小型ドローンを開発している「株式会社Liberaware」のもので、以前にもご紹介したことがありますが、JR東日本新宿駅の天井裏点検で使われたドローンです。
今回、暗所においてより明るく鮮明な画像を取得できるように開発された「IBIS」には、SONYの「STARVIS」という暗所に強いセンサーが採用されています。
出典:SONY
暗所の映像がこれまでよりも鮮明になることで、同社が得意とする3次元化や点群データ化などの映像解析の幅が格段に広がることになります。
同社は、ボイラーやタンク、配管内など人が進入するのに危険であり、費用がともなう設備の点検業務についてドローン及び映像解析技術により、設備保全業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に貢献していくとのこと。
新開発「人の目よりも明るく見える」超高感度カメラ
IBISにはLED照明が装備されており、プラントや建設現場における暗所設備において、これまで多くの点検を実施してきています。しかし、より暗闇の深い大型タンク内や配管内などでは、映像にノイズが多く鮮明さに欠ける映像になってしまうことがあり、点検品質や3D化・点群データ化などの映像処理業務に影響が出ていたことが課題だったそうです。
出典:Liberaware
この課題を解決すべく、SONYの高感度なCMOSイメージセンサーの「STARVIS」を採用したIBIS搭載用のカメラを開発。これによって深い暗闇空間でもノイズの少ない鮮明な映像を撮影することが可能に。
屋内の設備点検用カメラとしてSTARVISを採用したカメラを搭載したドローンは世界初となるそうです。
竹中工務店の協力で免震ピット点検実施
この新型IBISのリリースにあたっては、竹中工務店の協力で免震ピットの点検を実施。免震ピットは免震構造ビルの建物を支える免震ゴムやダンパーなどの装置が配備されている空間で、狭隘な環境。
IBISを活用した撮影を行うことで、作業員は免震ピットに進入することなく、免震ゴムやダンパーの異常の有無をチェックできることが確認できた他、IBISの新カメラが旧カメラと比較し効果的であることも実証されたとのこと。
出典:PRTIMES
新型IBISの主な特徴
新型IBISのは超高感度カメラ以外にも、新たな機能を追加。超高感度カメラの威力は以下の動画で見れば一目瞭然。全くの別物の明るさです。
◆超高感度カメラ搭載
※カメラ比較(チャート編)
※カメラ比較(オフィスフロア編)
◆狭小空間における安定飛行性能の向上
フライトコントローラーの改良を図り、狭い配管内での飛行がより安定。
◆操縦者用モニターに相対方向を表示する機能を追加
煙突内のような同じ模様が続く空間では、パイロットが方向感覚を失うこともありますが、この機能によって3D化などの映像処理を行う上で必要なオーバーラップを維持した撮影を行いやすくなります。
◆広角仕様のため外周部が湾曲してしまう映像について、点検現場にて即座に補正して確認できる機能
ドローン機体だけでなく、点検現場にてスムーズなドローン飛行をアシストできるアプリケーションを充実。
出典:PRTIMES
まとめ
この新型IBISは、既存のIBISを導入している会員企業に対し、順次旧機体との入れ替えを進めていくとのこと。これは既存機体を使う企業にとっては朗報です。
また、会員期間中は、この機体の入れ替えサービスの他、「機体壊したい放題サービス」「操縦講習会受講し放題サービス」を受けられるそうです。暗い狭隘空間を点検するというのは通常の屋外での点検と比べても難易度は高いでしょう。このサービスがあることで、もし壊してしまったら…という心配も和らぎそうですね。