こんにちは。昨今では、建設現場で働く作業員の動きや状態、建設機械の位置情報等を可視化し、共有・管理していく現場の見える化システムが多く開発されてきていますが、これらシステムの活用目的としては、主に安全性や生産性の向上が目的とされています。
本日は、「鹿島建設」が多くの現場情報を一元管理できる、高度な見える化システムを開発したとのことで、そちらをご紹介していきます。
これまでの複数の見える化システムを連携・集約した「Field Browser®」
同社では、人、モノ、建設機械の位置や稼働状況を、気象、交通情報などの環境情報と併せて一元管理できる統合管理システムを開発。システム名は「Field Browser®(フィールドブラウザ)」です。
このシステムは、これまでに同社の方で個別導入し運用してきた複数の「見える化」システムのデータを連携し、集約することで、1つの管理画面上で運用できるようにしているとのこと。
出典:鹿島建設
現在は、新名神高速枚方工事をはじめとする6現場に導入されているそうで、工事事務所に取り付けた大型モニターにこのシステムを常時表示し、さらに現場のカメラ映像と併せることで、遠隔から臨場感のある現場管理が実現できたそうです。
今後は各種システムを横断的に集計・分析する機能の強化など、生産性と安全性の向上を実現するために更なる機能向上を図るとのこと。
開発背景
鹿島建設は、現場管理の生産性、安全性の更なる向上を目指し、現場状況・状態の変化に応じ、スピーディーな意思決定を実現するため「現場の見える化」に関する取り組みを実施しています。
現場を見える化する第一歩としては、人や建設機械の位置、作業状態を把握することで、要素技術としてはある程度確率がされています。これには近年のICT技術の進歩が背景としてあり、現場でのICTの活用は身近になっています。
これにより、様々なシステムが現場へ導入されていますが、各システムは個別管理が必要となり、効率的に運用されているとは言い難い状況のようです。
また、各システムで取得したデータも個別のサーバーに分散されて保管されていたということで、今後はこういった個々の作業情報に関するデータを集約・分析し、次の計画を最適化するため有効活用することも求められています。
システム「Field Browser」の特長
フィールドブラウザは、個々のサービスを提供する事業者のシステムと連携し、地図上に現場図面を重ね合わせ、人、モノ、建設機械などのリアルタイムの位置情報を、気象、交通情報と併せて一元表示。
出典:鹿島建設
連携する個々のシステムに応じ、以下情報の見える化と利活用が可能
・人と建設機械、車両等の位置情報が、所属や職種、機械種別ごとに表示され、計画どおりの場所、人員、機械配置で作業が行われているかを現地に行かずとも把握可能。
・定点カメラ映像と位置情報をリンクさせる事で現場のより正確な状況把握が可能。
・人物についてはリアルタイムのバイタル情報が表示されるため、体調不良者の即時発見、対処が可能。
・建設機械、車両については、現在の稼働/非稼働状態に加え、蓄積された過去の稼働時間から稼働率を集計し、最適配置や手配の検討に活用。
・気象情報については、降雨や落雷を含むリアルタイムの天候に加え、72時間先の予報を確認できることで、対策・作業計画の見直し等の事前検討が可能。
出典:鹿島建設
現場での効果
このシステムを運用しているという同社の枚方工事事務所では、各種の見える化に関する取り組みのモデル現場として、様々な技術・システムを導入し、試行中とのこと。
スマートオフィスとして事務所にはどの席からも見える位置に大画面モニターを設置し、このシステムや現場に設置した定点カメラの映像を常時表示することで、高度な見える化管理を行っているそうです。
出典:鹿島建設
今、どこで誰がどのような作業を行っているのかを、現場から離れた事務所、さらには支店・本社でも常時把握できるため、迅速かつ的確な指示命令が可能。また現場では移動時間や作業待ちが無くなることで、現地立ち会い等の現場管理業務の効率化も図られており、遠隔パトロール等での状況把握にもメリットがあります。
まとめ
品質を確保しつつ安全性と生産性の両方を向上されるには、IoTを積極的に活用した新たな現場管理を確立していく必要があり、現場の見える化はその中でも重要な柱のひとつ。
同社ではこの「Field Bowser」をその中心に位置付け、すでに活用されている同社の「K-Field(紹介ページ)」や、今後導入を予定している作業員用のスマートフォンとの連携も視野に入れ、現場管理の標準システムとして積極的展開を図っていくとのこと。
各社似たようなシステムは色々と出ていますが、今回のものは人や建設機械、車両だけでなく、気象や交通などの環境情報や、資材、現場のカメラ映像など、これら全てがひとつのシステムに集約されています。
これだけの情報が揃い、またそれらをリアルタイムに確認し指示等ができるようになる。まさに新しい現場管理の形ですね。