こんにちは。昨今では企業同士の共同研究や業務提携、アライアンスなど、企業同士が協力し合っての技術開発、課題解決を目指した連携が増えています。これらは長所となる部分を取り込みながらの事業となるのでお互いに大きなメリットになります。
本日もそんな企業同士の取り組みの話題で、「株式会社NTTドコモ」と「株式会社竹中工務店」が、建築現場における「人」の活動に焦点をあてた生産性向上を目的とした、デジタル変革の共同検討への着手に合意したとのこと。
建築現場の最前線における働き方の新スタンダード構築
近年の建設業界では建物の設計・生産・運用段階にいたるまで、デジタル技術、テクノロジーの活用が拡大しています。その一方で最前線の建築現場において、多くは未だ個人スキルやアナログなコミュニケーションに依存しており、デジタル技術の活用部分は限定的になっているという課題があります。
両社は、建築現場における「人」の活動や、建築現場という「協働」の場での情報伝達をデジタル技術で支援することで、「デジタル技術を活かした建築現場の業務改革」による生産プロセスの最適化を実現。
さらに現場の工事計画や工事監理などの業務データやバイタル、歩数、位置データなどの「人」に関するIoTデータを蓄積し、将来の現場に活用することで、生産性の向上を図るとともに、現場の最前線における働き方の新しいスタンダードモデルの構築を目指すとのこと。
現場のデジタル変革に向けた取り組み概要
1.目的
従来の建築現場における個人スキルへの依存や、アナログなコミュニケーションスタイルに代表される業務形態を、IoTやデジタル化によって変革し、生産プロセスを最適化することで、生産性の持続的な向上を図る。
出典:竹中工務店
2.具体例
「協働」の支援
これまでに対面で行われていたコミュニケーションをデジタル技術で支援。
時間と場所に制約されないフレキシブルな働き方の実現
従来の対面型・集合型の情報伝達に対し、デジタル技術を活用した情報伝達の手法を組み込むことで、時間や場所の制約を減らし、生産性向上を実現。
安全に対する意識と知識を高め合う働き方の実現
建築現場における安全活動をデジタル技術化することで、作業員の安全意識や知識を向上するなど、安全活動を活性化し、より安全な建築現場を実現。
リアルタイムな工程間の連携による無駄のない働き方の実現
スマートフォンを介して工程計画や進捗、資材搬送情報などを異なる職種間でリアルタイムに共有することで、工程間の連携を強化し、無駄の少ない働き方を実現。
「個人」の活動支援
個人の役割や状況に応じた情報の入手や記録などの活動をデジタル技術で支援。
デジタルアシスタントに支えられたプロフェッショナルな働き方の実現
・個々の役割や状況に応じて、時間や場所を問わず必要な情報にアクセス可能に。
・工事を遂行する上で確実な実施が求められる段取りなどのタスクを支援し、手配漏れなどによる待ち時間の発生や工程遅延のない高効率な生産工程を実現。
・個人のバイタルデータなどを蓄積し、健康状態や作業効率を本人にフィードバックすることで、個人のパフォーマンスの持続的な維持・向上を実現。
まとめ
両社は今後、現場の課題に対し、すぐれたソリューションを有するスタートアップ企業との連携や、業界全体への働きかけを進め、建設業界全体の生産性および安全性向上と魅力向上に資する取り組みを推進していくとのこと。
建設業界ではまだまだアナログでの作業や対応部分が根強く残っており、全体として中々デジタル化が進んでいないのは事実です。新型コロナウイルスの影響により、これまでの働き方等に対する見方が変わった部分はありますが、このままだと以前通りの緩やかな状態に戻るだけでしょう。
そこにトップとしての使命を果たすべく竹中工務店の取り組みの発表。同社は建設業界全体の生産性向上、働き方改革に寄与するため、広く利用しやすいよう汎用化できるものを目指しているとのことで、現場試行できたものは今年度内にも展開していくというスピード感。
今後も竹中工務店だけでなく他スーパーゼネコン等でも同様の取り組みが進み、ソリューションが提供されるようになってくると思いますが、流れを待つことなく各企業が積極的に改革へ取り組んでいく意識が大事になるでしょう。