こんにちは。ドローンの活用方法の一つとして広く実証実験、または既に実用化がされているものとして「ドローンによる警備・監視」があります。
広い視点を持つドローンからの映像がリアルタイムにLiveで見れるようになり、人が実際に警備を行うよりも効率的な運用ができたり、災害現場などにおいては人が近づけないような場所にも問題なく近づけることから、今後もこの分野ではドローンの活用が進んでいくことでしょう。
本日は大手警備会社の「ALSOK」が、「東武タワースカイツリー株式会社」および「東武タウンソラマチ株式会社」と、東京スカイツリータウン内で、日本初となる屋内でのAIを搭載した完全自律飛行ドローンを活用した警備システムの実証実験を実施したとのこと。
ドローンを活用した警備の省人化と効率化を実現
実証の概要
ALSOKは2020年7月14日に、同社が施設警備業務(常駐)を担当する東京スカイツリータウン内にある、世界一高い自立式電波塔である「東京スカイツリー®」の展望台および都内最大級の店舗数を誇る大型商業施設の「東京ソラマチ®」において、完全自律飛行ドローンによる巡回警備を実施。
出典:ALSOK
この実証では、展望デッキおよびソラマチ商店街に設置したドローンポートから、ドローンを完全自律飛行させた4つの検証を行い、その有用性を確認。検証項目は以下。
1.スムーズなフロア間移動
2.巡回ルート上のチェックポイント通過
3.飛行中のリアルタイム映像配信
4.飛行中のAIによる人物検知
ALSOKが開発した巡回ドローン
この実証実験を行うにあたり、同社では画像巡回を可能にするドローンを開発。屋外およびGPSによる飛行が困難な屋内において人の手を介さない完全自律運用が可能とのこと。特徴は以下。
1.搭載した4Kカメラを用いて全方向の画像処理(Visual SLAM※)をリアルタイムに行い、屋内での完全自律飛行が可能
2.離隔距離 最小50cmの狭い空間での飛行が可能
3.障害物を自動で回避可能
4.充電ポートに自動で離発着及び充電が可能
5.リアルタイムに遠隔地へカメラ映像を送信可能
6.AIエッジコンピュータを搭載し、ドローン単体で人物などの検出が可能
出典:ALSOK
※Visual SLAMとは
Visual SLAM(Visual Simultaneous Localization and Mapping)は、カメラで撮影された映像から周りの環境の3次元情報とカメラの位置や姿勢状態を同時に推定する技術で、この技術を使うことでGPSの届かない状況でも自律走行や自律飛行などが実現可能となる技術です。
同社の目指す将来像
複数のドローンが順次自動巡回し、リアルタイム映像を警備室に送信することで、ひとつの施設内の広い範囲を少ない警備員で効率的に監視することが可能となります。
出典:ALSOK
今回開発されたドローンは、今後法制化される携帯電話のネットワークを活用するセルラードローンとしての活用も見据えているそうで、将来的にはLTE通信モジュールを搭載することで、大型商業施設の巡回や社会インフラの点検等、複数拠点の業務を一つのセンターで遠隔監視、そして駆けつける体制の構築を目指していくとのこと。
まとめ
AIエッジコンピュータを搭載していたり、Visual SLAMや充電ポートへの自動離発着と、ALSOKもいきなり高性能なドローンシステムを開発しているなと思いましたが、調べるとそれもそのはず「ジャパン・インフラ・ウェイマーク」社との共同開発でした。
見た所、おそらく米国スタートアップの「Skydio」と共同開発した点検用ドローン「Skydio R2 for Japanese Inspection」をベースに警備用途にカスタムしたものでしょうか。
ちなみにこのALSOKのドローン警備システムは2021年春の実用を目指しているとのこと。今回の実証実験ではまだLTE通信は使われておりませんが、それは今後の展開とのことで、おそらく今後拡大してくる5G通信にも対応すればより安定したシステムが実現できそうですね。