清水建設、コンクリートの充填シミュレーションを実工事に適用

sugitec

こんにちは。鉄筋コンクリートを作る際に必要となる配筋作業ですが、昨今では土木構造物の耐震性能に対して高い要求がされているためその密度は高いものになっています。

配筋が高密度になればなるほど、その後に打設するコンクリートの流動性が阻害されやすくなりますので、未充填部分が発生しやすくもあるのが課題でもあり、それを防ぐためにはコンクリートの配合や打ち込み・締固めの方法等の適切な計画が重要となります。

そんな課題を解決すべく、試験施工をすることなくコンクリートの打ち込みまえに3次元シミュレーションによって事前検証できるというシステム、充填シミュレーションを「清水建設」が開発。実工事へ適用したとのこと。

充填シミュレーションを適用し打設の事前解析、施工計画最適化

同社では、型枠内へのコンクリートの充填状況を事前に評価できる3次元シミュレーションシステム「充填シミュレーション」を実工事へ適用。(適用工事は福島県の東北中央自動車道東根川橋上部工工事)

このシミュレーションシステムの対象となるのは、PC箱桁構造物の高密度配筋箇所で、シミュレーション結果をもとにコンクリートの物性と打ち込み・締固め方法の最適な組み合わせを検討し、施工計画に反映することで円滑な打設作業ができたとのこと。


出典:清水建設

ちなみにこのシステムは既に2012年の段階でコンクリートの流動挙動シミュレーションシステムとして開発されています。それが2016年にバイブレーターによるコンクリートの流動挙動の評価機能が付けられバージョンアップ。それを実工事で実施した例となります。

充填シミュレーション概要

同社の充填シミュレーションシステムは、バイブレーターを用いたコンクリート打設計画の実効性を解析的に事前評価するもので、型枠に打ち込むコンクリートの配合や打ち込み位置、バイブレーターの挿入位置、振動時間等の最適な組み合わせを試験施工に頼らず事前検証ができるシステムとなっています。

使い方としては、はじめに実際の型枠や鉄筋の3次元図面をシミュレーションソフトへ入力してモデル化。次にコンクリートの打ち込み位置やバイブレーターの挿入位置・振動時間を任意設定・入力することで、型枠内でのコンクリートの流動の挙動をシステムが解析します。

解析の結果は3次元アニメーションによってビジュアル的に可視化されるので、バイブレーターによる締固めの効果をひと目で確認することが可能です。

可視化したコンクリートの充填状況

打設計画


出典:清水建設

シミュレーション結果


出典:清水建設

まとめ

阪神淡路大震災以降は、土木構造物の耐震性能に対する要求水準が引き上げられました。その結果、鉄道・道路高架橋などを中心に配筋密度の高いコンクリート構造物が増加しています。

一方で配筋の高密度化は、コンクリートの流動性の阻害要因となることが課題でもありましたが、シミュレーションで可視化し事前検証することで試験施工に頼ることなく計画を最適化できるのは素晴らしいですね。

近年、土木・建設業ではこれまでのアナログ部分がテクノロジーにより急速にデジタル化され可視化が加速しています。近い将来実際に人が施工を行う部分以外はテクノロジーで最適化されているのは間違いなさそうです。

新技術紹介
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました