稼働音から建機の状態を診断できる画期的スマホアプリ

sugitec

こんにちは。昨今では様々な業界でソリューションが開発されています。一昔前では、パソコンや独自の機器を使用したシステムやプログラムが一般的でしたが、スマートフォンやタブレットの普及により、手軽に使えるアプリとしてリリースされている物も多くなっています。

本日は、そんなスマートフォンアプリで建設機械の状態を診断できるというソリューション「ConSite®︎Health Check(コンサイト・ヘルス・チェック)」というアプリをご紹介。

こちらは「日立建機株式会社」が開発したサービスとなります。

エンジン、油圧ポンプの診断を通じライフサイクルコスト低減に寄与

このソリューションですが、ユーザーのライフサイクルコストを低減するサービスとして、手軽にスマートフォンを用いて短時間で建設機械の状態を診断できるというもの。

建設機械の稼働音・測定データから建設機械を診断し、その状態を判定できるというアプリシステムは建設機械業界では初のソリューションとなります。

手始めに2020年3月より、インドネシアや中東、アフリカ地域にある販売代理店のサービス員向けに提供が開始され、順次グローバル市場に向けて本格的に展開していくとのこと。

開発背景

従来では、燃料インジェクタや油圧ポンプの状態診断には、人が建設機械の微小な異常音を聞き分けたり、労力と時間がかかる大掛かりな設備を用いた試験、分解しての調査などが必要でした。

そしてその作業には長年の訓練と経験が必要となります。また、同社では従来よりパソコンを専用ケーブルで建機と接続し、測定データを表示するサービスツールを活用していたようですが、人が測定データに基づいて建機の状態を判断する必要があります。

今回開発されたアプリでは、人よりも高い精度で燃料インジェクタや油圧ポンプの状態を半自動で診断し、状態を判定することが可能であるため、これまでできなかった定量的なデータ分析により判定結果という根拠に基づいた修理計画をユーザーに提案できます。

状態を短時間で診断することで、建機が止まるような大きな故障が起きる前に、内部の性能低下など建機の「健康診断」をすることができるため、ダウンタイムコストやメンテナンスコストの低減につながり、ユーザーの課題である「ライフサイクルコストの低減」に寄与します。

専門の開発部を設立

このような背景から同社では、日立グループから横断的にICTやAI活用による情報データ分析の知見に富んだ技術者を集め、2017年に専任組織である「ConSite開発部」を設立。

長年の建機の保守・点検業務による知見と、日立グループの最先端の情報データ分析技術を活用した「ConSite®︎」は、遠隔監視で建機を見守るサービスソリューションとして、日立グループの「Lumada®︎」にも登録。

ConSite®︎Health Checkの特長


出典:日立建機

1.燃料インジェクタの劣化によるエンジン稼働音の差異を見える化、短時間で健康診断

エンジンの各シリンダに搭載される燃料インジェクタは、稼働に必要な量の燃料をシリンダ内に噴射する役割を持ちます。建設機械を長年、稼働すると稼働条件や経年劣化により燃料インジェクタの先端や目詰まりが生じます。

燃料インジェクタの異常検知が遅れると、エンジン故障につながる恐れがあるため、早期に燃料インジェクタの故障を把握することが重要です。

同社では燃料インジェクタの劣化によるエンジン稼働音の変化を熟練サービス員が聞き分けている点に着目。燃料インジェクタの正常時と異音時のエンジン稼働音の周波数データをAIによって分離・分類させることに成功し、結果「ConSite®︎ Health Check」ではスマートフォンのマイクを使ってエンジンの稼働音を収録することで、約3分というたんじかんで健康診断結果をその場で表示します。

2.油圧ポンプの圧力を半自動で測定、素早く健康診断

油圧ポンプはエンジンの動力によってタンクにためられた作動油を吸い上げて圧力を加え、高圧な油に変える役割を持ちます。建設機械の油圧ポンプは使用環境や経年劣化による摩耗が原因で内部の油漏れが生じやすくなり、油圧ポンプの故障につながります。

「ConSite®︎Health Check」ではスマートフォンと建設機械を通信デバイスで接続し、油圧ポンプが送り出す作動油の圧力を測定し、その測定データに基づいて油圧ポンプの状態や内部摩耗がどの程度進行しているかなど、短時間で「健康診断」結果をその場で表示します。

まとめ

AIで異常音を検知して知らせるというソリューションは他にも色々とありますが、このソリューションのポイントはスマートフォンのマイクがあれば誰にでも簡単に診断ができるという点でしょう。

今や世界的に普及しているスマートフォンは最も身近で手軽なデバイスです。手軽でありながら加速度センサーなどのセンサーも付いていることから、過去にご紹介した記事の中では、使わなくなったスマートフォンを使って製品製造の機械に取り付けて加速度センサーで動きを検知し数をカウントするというようなサービスもありました。

誰にでも簡易に定量的にかつ使いやすいというのは、昨今のソリューションには重要なポイントであることは確かですね。

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