こんにちは。昨今の建設現場では、AIやエッジデバイス、AR/VR、ビーコン等での位置情報などのテクノロジーを活用した現場作業を効率化するシステムなどが多く登場してきています。中には実際にサービスとして大々的に販売しているものから、その企業の関係現場のみで使われているものなど色々です。
本日はそんな現場作業を効率化するアプリで、竹中工務店が開発した建設現場の作業員等の生産性向上に貢献する「位置プラス®」シリーズという複数のアプリの外販を本格的に行っていくという発表がありました。
全国の建設現場で働く職員・作業員等の業務時間削減、生産性向上目指す
同社は、全国の建設会社と協力会社を対象とし、現場で働く職員・作業員等の業務時間削減、生産性向上に貢献するアプリ「位置プラス®」シリーズの外販を本格化させるとのこと。
同社は2019年6月にグループ会社の朝日興産を通じ、レンタル会社1社を窓口とする「位置プラス®」シリーズの外販を開始。この度、新たに2社のレンタル会社が窓口として加わり、全国の建設現場に向けた強固な販売・サービス体制を構築したそうです。
この本格化する「位置プラス®」シリーズのアプリの内容は以下。
・職員や高所作業車の位置を探索できる「位置プラス®探」
・撮影した写真の位置をデジタル図面上に自動で紐付けできる「位置プラス®写」
・高所作業車の予約管理を行える「高車予約」
以上の3つのアプリ。これら「位置プラス®」シリーズは、建設現場における職員・作業員等の人手不足の解決を目指して開発した、人や高所作業車等の位置を記録し、各種管理業務に活用できるアプリです。
BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンを建設現場の仮設照明等に取り付け、フロアの図面等の簡単な登録を行うだけでGPSが届かない屋内でも位置認識が利用可能になるというもの。これらのアプリは、これまでに同社の手掛ける約30ヶ所の建設現場に適用してきたそうです。
位置プラス®探
建設現場内の高所作業車や作業員の位置を把握するアプリ。BLEビーコンを用いた発信機を建設機械に取り付け、作業員の現場巡回時に携帯端末から自動で建設機械の位置情報を収集する仕組み。送られた位置情報は、携帯端末上に保存されている建設工事用の作業所平面図に映し出されます。
出典:竹中工務店
システムの機能
- 図面上に建設機械・作業所員の位置が丸や三角の記号と名前で表示される。
- 一定時間以上動きがない場合、記号が赤く表示される。
- 建設機械・作業所員の名前から位置を検索。
- 場内の無線発信機を盛替える場合、作業所員がシステム内で簡易に変更可能。
- 携帯端末上でシステムが起動していなくても、自動で位置情報を収集。
システムの特長
①建設機械の探索時間がゼロに
位置把握技術によって建設機械の配置状況を瞬時に把握可能。これによって日々の重機探索時間がゼロになるほか、重機と人の位置から正確な配置管理を行うことで、効率的かつ適正な施工を実現。
②屋内でも位置の把握が可能
無線発信機を作業所場内に10~20m間隔で配置し、無線標識として使用することで、屋内であっても位置情報を5~10mの精度で把握可能。
位置プラス®写
携帯端末で撮影した工事写真をデジタル図面上に自動的にプロットして一括管理するアプリ。撮影された工事写真は撮影位置、撮影日時、撮影者名、撮影時のコメント等の情報と合わせてサーバーに保存されるため、写真データを現場内でリアルタイムに共有可能。
このアプリを建設現場へ導入した結果、作業指示にかかる時間を、従来のデジタルカメラと紙図面を使って行う方法と比べて43%、携帯端末で市販の野帳アプリを利用する方法と比べて33%削減したとのこと。
出典:竹中工務店
システムの特長
①工事写真の撮影位置をデジタル図面上へ自動的にプロット
・プロット間違いを防止し、工事写真のエビデンス性を向上。
②工事写真と図面を1枚の画像に統合し、画像データを自動作成
・写真と図面を用いた分かりやすい指示書を簡単に作成。
③iBeaconによる位置認識を補正する機能を搭載
・撮影の方角を自動的に把握し図面上に表現。
・表示位置を画面上で微修正可能。
④作業指示や工事記録を支援
・写真にデジタル上で書き込みを行い作業指示とすることが可能。
・従来工事黒板に書き込んでいた施工日時、場所、状況等の情報を写真上に合成表示可能。
⑤全工事写真をサーバー上で一括管理し、情報共有を支援
・他のメンバーが撮影した写真も含め、全ての工事写真をシステムの図面上でいつでもどこでも確認可能。
・図面上に表示する工事写真は日付、撮影者、黒板のテキスト検索により絞り込みが可能。
高車予約
大型建築現場で数多く使用される高所作業車の予約を簡単に実行できる予約管理アプリ。高所作業車の利用・予約状況をリスト形式で閲覧できるため、いつでもどこでも最新状況の確認が可能。また「位置プラス®探」の位置認識手法を活用することで、作業場所の近くにある高所作業車をデジタル図面上からも予約できます。
このアプリを建設現場へ導入した結果、高所作業車の予約・配車・返却にかかる時間を約70%削減。また、予約が空いている高所作業車が明確になることで遊休高所作業車の返却を行い、延べ借入台数を約15%削減できたそうです。
出典:竹中工務店
アプリの特長
- 全高所作業車の予約の入力・確認をリストからもマップからも行える。
- ユーザーがワンタップするだけで予約状況が他の全利用端末へ瞬時に反映されます。
- 複数業者で共有するスポット車と単独の業者で専有する専有車とを分けて管理可能。
- 専有車であっても使わない時間帯を「空」として他職種が使えるようにできるため稼働率を高める運用が可能。
- 予約状況は全てデータベースに保存されるため、利用率の低い高所作業車を特定可能。
- 現場内と高所作業車にビーコンを設置することで、位置認識が可能。
まとめ
今後、同社では外販を本格化させる上記3つのアプリについて大幅な機能追加を行うとともに、その他のニーズを取り入れた新規アプリの開発を目指すとのこと。
また、「位置プラス®」シリーズの特長を生かし、アプリで取得した各情報をBIMへ出力する連携機能等も順次追加していくそうです。
実際に30ヶ所の現場で適用され効果が実証されているアプリ。竹中工務店としても自社だけでなく多くの現場、業界全体の作業効率化を後押しするための今回の販売体制の強化となっています。
金額等の詳細は掲載されておりませんでしたので、要お問い合わせという形になるかと思いますが、ご興味のある方は一度お問い合わせされてみてはいかがでしょうか?
◆お問い合わせ
株式会社竹中土木
本社 技術・生産本部 技術開発部
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