こんにちは。コンクリートと聞けばどのようなイメージを持たれるでしょうか?建築資材として多くの建物で使われている材料で、基本的に一般的な知識では頑丈なイメージがあると思います。
しかしこの業界では当たり前の知識ですが、コンクリートは圧縮する力には滅法強い反面、引っ張り方向の力や曲げ方向の力に弱いという特性があります。
例えば1cm角のコンクリートがあった場合、240kgまで(圧縮強度24N/m㎡として)の圧縮力に耐えられますが、逆に引っ張る力に対してはその10分の1の力の24kgで壊れてしまいます。その弱点を補強する為に、鉄筋(鉄筋は引張力に強い)を入れているのが鉄筋コンクリートというものになります。
そのコンクリートの常識を覆す新しい製品が、オーストラリアのメルボルンで開発されたそうです。
「曲がる」コンクリート。耐震性などにメリット
コンクリートが曲がるという時点で、それはコンクリートなのかという話になってきますが、そんな「曲がるコンクリート(Bendable cement-free concrete)」がメルボルンのスウィンバーン工科大学の研究チームが開発し、特許を取得したそうです。
出典:Swinburne
まず材料自体が通常のコンクリートとは異なっており、従来のセメント材ではなく石炭を燃やした後にできるという、フライアッシュという灰を材料にするそうです。
なので、生産時のエネルギー消費が従来のものと比べても36%も少なく、排出される二酸化炭素CO2は、なんと76%も削減ができるとのこと。
ポリマー繊維が肝
この曲がるコンクリートですが、材料にはフライアッシュの他に短いポリマー繊維を加えるそうです。ポリマー繊維が混ざることで、引っ張りや曲げの力にも強くなり、負荷がかかっても通常のコンクリートのように粉々に粉砕されず、柔軟に曲がるようになるそうです。
割れずに曲がるという柔軟性を持っていることで、例えば地震や突然の衝撃などの力にも耐えることが可能なので、自然災害のみならず何か人為的な災害が起こるであろう地域の建築物に適用することで価値を発揮できるであろうとのこと。
通常コンクリートの400倍曲がる
実験では、通常コンクリートの約400倍も曲がったそうで、しかも強度はほぼ変わらないという結果が出たそうです。
通常コンクリートはそもそもほぼ曲がらないと思うのですが、とりあえずこの「Bendable cement-free concrete」は、かなりの柔軟性と強度があるという結果が出ています。
まとめ
これは中々おもしろい物が出てきましたね。日本は地震大国なのでこのようなコンクリートは需要がありそうです。鉄筋コンクリートも強いですが、鉄筋の腐食は切っても切り離せない問題ではありますし、この材料が普及することで解決する問題は多くありそうです。
果たしていつ実用化されるのか?注目していきたいと思います。