研修へのVR活用で習熟度や研修効率が大幅アップ

sugitec

こんにちは。テクノロジー的にはもう一段落し、落ち着いてきた感のあるVR。エンターテインメント分野ではVRのアミューズメントなどが各地にでき、一時期賑わいを見せていました。

最近ではその集客にも陰りがでてきているようで、やはり人々がテクノロジーそのものに慣れてからは、コンテンツの中身で勝負をしていかなければ次々と淘汰されていくのは仕方がない所です。

とは言え、テクノロジーとしては無くてはならないレベルのもので、昔のバーチャルリアリティのように一過性で終わってしまうような物ではなく進化を続けているのは確かで、利用シーンに関してもエンタメから各業界での業務などその活用範囲は幅広いものとなっています。

本日はVRのクラウドソフト「スペースリー」を運営する株式会社スペースリーが、自動車向けエンジン軸受の世界トップシェアを誇る大同メタル工業株式会社と共同でVR研修の現場実証を行ったという話題。習熟や研修効率がかなり向上しています。

この共同実証は、2018年10月に開始した日本政策投資銀行が主催する東海オープンアクセラレーターをきっかけとしたものとのこと

VR研修で習熟度が43%アップ。研修効率も33%効率化

このVRを使った現場実証ですが習熟度が43%もアップし、他にも33%の研修効率化という結果を出されています。また、活用した現場からは、今後は新人の定着率の向上にも効果的であるという可能性が示されました。

大同メタル工業はこの実証実験で得られた知見を踏まえ、他の製造事業者での実証を新たに進め、製造業にとってより有用なデータを収集し、VR研修ツールの商品化へ繋げていくことになったそうです。


出典:スペースリー

背景

近年、慢性的な人手不足や若者の離職率の増加、海外人材の増加などが深刻化していく中、いかに技術継承をしていくかが製造現場の方でも大きな課題となっています。

このような中、大同メタル工業においても確実な技術の継承に加え、従業員個々のレベルをスピーディーに且つ均質に上げていきたいという現場の要望は大きいもので、その教育方法の改革が求められています。

実証実験概要

大同メタル工業のグループ会社における新入社員教育現場で、VRを活用した現場実証を実施。

現場の感覚を学ぶには座学や動画だけでは不十分という根本的な課題に対し、製造現場での作業者の目線や手順を自身が体験しながら進められる、クイズ形式の独自のVR研修コンテンツを通じてVR活用の有効性を検証しています。


出典:スペースリー

株式会社スペースリーの開発したVR研修のためのクラウドソフトでは、月々数万円で事業者が自らかんたんに様々なシナリオやクイズなどが設定された高品質なVRコンテンツを制作し、活用することが可能となります。

この度の実証実験においても大同メタル工業の研修担当者が、アイデアが思い浮かんだその場でマイクロラーニングのVRコンテンツを制作する形で実証実験を行ったそうです。

実証結果

目線や体を頻繁に動かすといった、現場での経験が求められる作業は、座学や映像研修だけで学習することに限界があり、その点で疑似体験を伴うVR研修は効果的。

また、ゲーム感覚で楽しみながら臨場感のある学びがいつでもどこでも可能なこともVRの大きな特徴です。新人研修の間、休み時間中に研修生が自らVR研修コンテンツを手に取り、学び始めた光景はこれまでの研修には無かったものだったとのこと。


出典:スペースリー

このようなVRが現場感覚を学ぶのに適し、また楽しく能動的に研修者が学ぶことが可能となり、結果として事前研修が33%の効率化を果たすとともに、習熟度においても43%アップという結果に。

また、現場の声からの定着率向上やOJT効率化に効果的であることが示されました。


出典:スペースリー

今後の展開

製造の現場におけるVRの導入に対しては「活用シーンや導入効果のイメージが湧かない」といった不安や現場の担当者が自作することに対する心配の声があるそうです。

実際、製造現場の研修内容はベテラン作業員が培ってきた経験・ノウハウの結晶であり、VRコンテンツに織り込む作業は現場のセンスやコツが必要。

そのような場合にはパートナーである、大同メタル工業を販売窓口とした導入サポートを行うそうです。

まとめ

習熟度の43%アップ、研修効率の33%アップと大きな実証結果を出しているVRクラウドのスペースリー。

一番に研修などはVR技術との親和性が高いという事がありますが、このサービスではそのVRコンテンツを誰にでも手軽に簡単に作成・編集できるようにしているという部分が大きいと思います。

従来であればVRコンテンツは外部に制作してもらわなければならず、大きな外注コストがかかります。それがユーザー側で360℃カメラで撮影することで、アプリいらずで簡単にコンテンツを編集(スマホ・タブレット・PC)でき、しかも低価格(月額4,980円~)で利用できます。

現在このスペースリーは主に不動産分野を中心に2,000社以上の利用があるそうですが、サービス内容的に納得できる数字ですね。

当然、独自性の高いリッチなコンテンツを作成する場合は、外部に制作してもらう必要は出てくると思いますが、研修用途等であれば必要十分であると思われます。

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