こんにちは。本日のニュースで米国内政府がサイバーセキュリティの懸念を考慮し、同省のドローン部隊(緊急用除く)の活動を休止するとの発表がありました。
ドローンを運用する上で用いられるテクノロジーが、国家安全保障の妨げにならないことを確実にするためとのこと。そこには特に中国というワードは出なかったらしいですが、今回のこの見直しで今後の流れ次第では某メーカー禁止もあり得るかもしれませんね。
さて、本日は大和ハウスグループのフジタが、国立大学法人山口大学と共同で、造成地を対象とした独自ドローン測量手法を開発したという話題をご紹介。
斜め往復撮影を行う独自のドローン技術
この技術ですがRTK搭載型のドローンのカメラ角度を斜めにして撮影することで、標定点と呼ばれる測量用の目印を設置せずに、とくに精度を出しにくい高さ方向の測量精度を画期的に向上するもの。
施工中の複数の造成現場においての実証試験を行った結果、高さ精度が誤差23mmという国交省の推進するi-Constructionの要求精度を満たす精度を達成。その有用性が確認されたとのことです。
標定点を完全に廃止することで、測量にかかる時間も大幅に削減し、作業時間を最大4分の1まで短縮できることから、省力化と生産性の向上につながります。
出典:フジタ
開発背景
通常ではドローン測量をする場合、トータルステーションによる従来通りの測量で標定点の座標を求めます。そしてそこには計測の対象範囲内に100m以下の間隔で標定点を設置するという規定があります。
これに対してGNSS搭載標定点の使用によって、事前測量の省略や、RTKドローンを用いた標定件の削減などで効率化は可能でしたが、設置や回収の手間を省くには完全に標定点がいらないドローン測量手法がのぞまれています。
また、ドローン撮影した画像から三次元モデルを制作するSfM解析において、従来の鉛筆並行飛行で撮影した画像のみの処理の場合、高さ方向に大きな誤差が生じる可能性があり、標定点の設置なしでは本来は平坦ば地形をドーム状などに歪めて推定してしまうという問題がありました。
共同研究概要
山口大学大学院創生科学研究科、神野研究室では、ドローン測量のSfm解析で生じる誤差への対策として、撮影の向き・高度に多様性を持たせる斜め撮影の研究を行っているとのこと。
この度の共同研究では、カメラ角度、画像セットなどの撮影設定、Sfm解析の条件・パラメーター設定を5000ケース以上の解析実験に基づき、造成地向けに精密に分析、調整し、フジタが造成現場で繰り返しの検証を行うという流れで進み、その結果、標定点を完全に省略し、GSD(地上画素寸法)20mmに相当する高度のドローン測量で、国交省で示された出来形管理の基準値精度±50mm以内という高精度を達成。
この「斜め往復撮影ドローン」では、ドローンの飛行時にカメラ角度を斜め10~30度に設定し、複数方向から対象を撮影。
その後、画像サイズや抽出する特徴点数など、詳細検討に基づくSfM解析を行うことで、標定点を設置せずに鉛直方向の撮影を省略しても精度確保ができるようです。
今後は険しい地形などの厳しい条件下で実証データを蓄積し、技術のさらなる効率化・高精度化を進め、標定点の設置を原則とする国交省の基準要項の改訂につなげていくとのこと。
技術の導入効果
・標定点の設置省略により、災害現場など人の立ち入りが困難な現場でも高精度な測量が可能
・簡易ドローン測量「デイリードローン®」と組み合わせて使用することで、事前準備から解析までの一連作業を簡略化し、作業時間を従来比4分の1に短縮して測量コストを削減
出典:フジタ
まとめ
通常、ドローンでの測量ではトータルステーションで標定点座標を求めるのが極一般的でしたが、この技術でトータルステーションそのものが完全に必要がなくなります。
作業時間が4分の1まで短縮ができるようになったとのことで、かなりの生産性の向上に繋がっていますね。
また、効率化もそうですが、人が標定点設置の為に立ち入るのも難しいような場所でも、このシステムがあることで立ち入らず測量ができるという点も、生産性と安全性を両立できていて非常に有用な技術になっているのではないでしょうか。