こんにちは。今週日本の海上保安庁が2020年より中国製のドローンの購入・活用を保留するという方針を固めたというニュースがありました。理由としては機密情報漏洩の恐れを遮断するためとのこと。来年度の予算案では中国製ドローンを他製品に転換する費用を反映するそうです。
米国では早くから同様の方針を打ち出し話題になっていましたが、日本もそれに倣う形になります。なぜこんなことになっているのかと言うと、他国ドローンが国家機密情報を収集しているかもという懸念からきています。
真偽の程は分かりませんが懸念がある以上は使わないに越したことはないということでしょうか。中国製ということは当然シェア約80%を誇る最大手のDJIも入るということになります。
今後、万が一にも全面的に禁止ということになればDJIにとってはダメージが大きいですが、国内メーカーにとっては巨人がいなくなるので、またとない追い風にはなるでしょう。今回のこのニュースで某国内ドローンメーカーの株価が急上昇したそうで…
さて、本日もドローンの話題になります。農林水産航空協会が認定する国内ドローン製造メーカーの「株式会社マゼックス」が開発する、延線・架線・索道用のドローン「延助(のびすけ)」が、ユーザーの声ももとに「延助Ⅲ」として、2020年に破格のニューリリースを果たすそうです。
産業用ドローン革命児「延助Ⅲ」で2日の作業が90分に
何やらどこかで聞いたことのあるネーミングですが、この「延助」は電設業や建設業向けの産業用ドローンとして開発され、600台以上の納入実績があるそうです。ちなみに現在マゼックス以外で電設専用のドローンとして市販されているドローンはありません。オンリーワンです。
この「延助」が誕生してから約2年が経過。当初では農薬散布ドローンのフレームに切り離し装置を搭載し、延線用として誕生した延線・索道・架線ドローンでしたが、実際に使用する過程では農薬散布ドローンとは違う環境での安定力や、引張力が必要。
その経験や知識を活かして新たに開発したのが「延助Ⅲ」となります。
出典:マゼックス
延助Ⅲは農業用ドローンの経験も活かしつつ、電設専用フレームとして設計されました。農業用のドローンでは散布幅内を均等に散布することを求められますが、電設用は延線作業を行っている間を安定して飛行し続けることが求められます。
そんな飛行方法やモーター、ESC、フレーム寸法を計算し開発。ドローンと言えば自動飛行が定着していますが、延線作業では目的地点にて繊細な調整が必要となるため、自動飛行やカメラの操作では非常に難しく、自動飛行を使用するメリットがありません。
出典:マゼックス
そこで2オペレーション仕様を開発し、2台の送信機で1台の機体を操ることによって、目視内ですべての作業を行うことを可能にしています。これによって目的地点での微調整も簡単に行えるようになります。
この延助Ⅲの価格は機体と送信機2台を含め、産業用ドローンとしては破格の1,498,000円。通常このような本格的産業用ドローンは最低でも200~300万はすることを考えると、価格面でかなり攻めていますね。
産業用ドローン延助Ⅲ
延線・架線・索道などの作業を実施するための産業用ドローン。国内初搭載となる2つの送信機で1台の機体を操縦する2オペレーション仕様を標準装備。
垂直方向に最大で17kgの推進力のあるモーターと強固なフレームで、気象条件に左右されること無く初心者にも安定して迅速に作業が実施できます。
国内生産で、多種多様な現場で誰でも簡単に正確な作業を可能にするために、高性能GPS、気圧センサー、位置確認システム、安全システムを搭載し、「通常作業・緊急離脱用」の2種類の切り離し装置を装備しています。
強い突風にも流されない安全性
これまで空撮用のドローンを利用して延線作業が行われていました。しかし、空撮用のドローンはそもそも物資の取り付けが想定されていない機体なので、突風が吹くと機体は風に流され安全性を確保できません。
出典:マゼックス
また、軽量の紐などを利用しなければいけなく、空中で木に絡まることが多々あったそうです。延助Ⅲでは最大で150N(15kg)の力で牽引することで、ロープでも張力をかけて牽引することが可能に。
それによる延線作業も簡素化できます。強い突風が吹いても機体は流されることなく33インチの大きなプロペラで力強く目的地まで安全に作業を遂行。飛行速度は約15~20km/時で、500mを約90秒で目的地まで牽引します。
パワフルなモーターとウルトラカーボンプロペラで効率的な推進システム
推進システムは長く農業用で使用された機構をベースにアップグレード。瞬間最大出力は1つのモーターで17kgにまで達します。
出典:マゼックス
内部は耐候性シーラントが塗布され、回路基板を液体やほこりによる腐食から守ります。そのうえ冷却フィンにより1時間の連続運転でも表面温度はわずか10℃の上昇だけに抑えられます。
従来2日間必要な延線作業をたった90分で完了
延線作業当日、人員配置や移動に合計60分。途中3ヶ所で2~4mの隙間に延線を通す必要があったにもかかわらず、作業時間は4本の延線を30分で終了。
従来では2日間必要としていた作業が、延助Ⅲの活用で全作業を合計90分で完了しています。
当日条件
1.延線距離は450m。安全対策のためB地点へ一度着陸。
2.オペレーター同士が確認できない現場。2~4mの隙間を①・②・③の3ヶ所通す。
3.合計4本のロープを延線作業。ロープは1.3kg/100mを使用。
4.天候:晴 風速:5m/s 、海辺のため5m/s以上の突風が時々発生。
出典:マゼックス
まとめ
この「延助Ⅲ」を利用することで、2日間も必要だった延線作業がわずかに90分で完了してしまうという驚くべき効率化となっています。
出典:マゼックス
ちなみに延線ドローンというのは飛行前申請・許可が通常のものと比べても特に難しいと言われているそうですが、同社にて機体を購入された方は19年12月より全ての申請や登録、報告までを代行してくれるとのこと。
これによって産業用ドローン導入時の負担が大幅に軽減されることになります。1年目には対人対物保険も付帯し、申請時の保険加入作業等も全て同社が行ってくれるという至れり尽くせりぶり。
延線、架線、索道をマンパワーで行っている企業様は、この費用対価格であれば導入の価値は十分になるのではないでしょうか?