こんにちは。世の中に溢れているRC造の建築物。RC造の大きなメリットとしては耐火性・耐震性と耐久性にも優れているという点。
コンクリートなので当然躯体は非常に頑丈で燃えにくく、地震などの揺れにも強い他、建築の法律にある法定耐用年数が47年と長いのも、その構造の強さが認められている故です。
そんなRC造の建築物ですが、重量が重いので地盤の改良が必要になったりする場合があることや、増改築が困難な点、木造などと比べると解体に費用が多くかかるなどのデメリットもあります。中でも解体に関しては費用もそうですが、特殊な重機などを使うことで起こる騒音や振動なども問題となります。
今回ご紹介するのはそんなRC造の建築物のリユースを可能にする技術で、リユースするということは当然解体にかかる作業も大きく減らせるということになります。
スクライム-サット・サーブ工法でサスティナブルな環境配慮建築物の実現を目指す
三井住友建設が株式会社サトコウと共に開発したその工法は「スクライム-サット・サーブ工法」と呼び、2017年の9月に共同開発に着手されています。
出典:三井住友建設
この工法では、スクライム-サット工法の柱・梁部分に用いるプレキャストコンクリート(PCa)部材の接合を、モルタルの注入で結合させるのではなく、PC鋼材を用いてアンボンド圧着するようになっています。
建築時の急速施工に加えて、圧着力を開放するだけで基礎構造を除く躯体と内装ユニットを部材ごとに容易に解体・リユースができ、サスティナブルな環境配慮建築物を可能にします。
工法の特長
1.PC鋼材の圧着力を開放するだけで容易に部材ごとの解体が可能。
2.解体作業時の騒音と振動を大幅に低減。
3.PCa部材のリユースと内装ユニットのリフォームで新たな建物を創出。
4.部材のリユースを推進することで環境負荷を低減。
開発経緯
RC造の建築物は高い剛性・耐久力・耐火性などの特長を有していますが、耐久力が高すぎるために建物のライフサイクル自体のリユースを検討するような取り組みは進んでいなかったそうです。
同社ではPCa部材の製造時に発生するCO2削減の取り組みも併せて、環境配慮建築物を実現するスクライム-サット・サーブ工法の開発に着手。各種の構造実験を実施し、構造性能を確認したそうです。
出典:三井住友建設
まとめ
圧着力によって固定しているので、解体時はその部分を開放するだけで部材ごとに取り外しできる仕様になっています。これであれば解体時に全て壊すようなことは無くなりますので、騒音や振動を限りなく抑えつつスムーズな解体作業が可能となります。
またそうすることでプレキャスト部材がリユース可能。内装ユニットを変更することで手早く新しい建物に生まれ変わらせることができるというのは、最大のメリットですね。
同社では今後の展開として、博覧会やスポーツ大会など大規模イベント時の施設や仮設宿泊施設、自然災害発生時の災害仮設住宅などの期限付き建物や、定期借地権の土地を活用する建物、短期間での人口流出入に伴う学校施設の建設・解体などに提案していくそうです。
◆記事参考:三井住友建設株式会社「RC造建築物の解体・リユースが可能なスクライム-サット・サーブ工法を開発」
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