サイバー空間で最適ルート設定。東芝がドローン高所設備の点検技術を開発

sugitec

こんにちは。土木・建設業界では様々な構造物をドローンで点検するという事例も着実に増えてきています。

高所設備などに関しては安全面や作業の効率、コストを考えるとドローンを選択しない理由が無いほどに信頼性も上がっており、今後もドローンでの点検は増加していくのは間違いないでしょう。

そのドローン点検ですが、東芝が東芝エネルギーシステムズと共同で、プラント施設や高所設備の効率化と高精度な点検を実現する技術を開発したとのこと。


出典:東芝エネルギーシステムズ

高所設備の効率化と安心・安全な点検ソリューション

この技術ですが、プラント施設や高所設備の3次元イメージを精緻に構築。ドローンの最適な飛行ルートを事前にサイバー空間上で生成し、画像認識技術を組み合わせることにより、劣化箇所の把握などの点検を効率的に高精度に行えるとのこと。

この技術で作業員が簡単に立ち入れない場所や、足場を組む必要がある高所の点検作業を容易に行うことが可能となります。

背景

多くの国内プラント施設は高度経済成長期に建設され50年程が経過。施設や配管等の劣化が進んでおり、保守点検の必要性が増しています。

その一方で作業員の高齢化や人手不足などの点検員の確保や、煙突や鉄塔などの危険を伴う高所設備における作業員の安全確保と効率化が課題になっています。

この課題解決に向け、同社では点検にドローンを活用することで安全性を確保しつつ、省人化と効率化の両立を目指しています。

技術概要

まず最初に東芝プラントシステムズの保有する3Dレーザー計測技術を使い、対象施設の形状を計測。サーバー空間上に施設を3次元化し再現します。


出典:東芝エネルギーシステムズ

次の段階では東芝の保有する生産シミュレーション技術を活用し、施設をドローンで撮影する際に最適な飛行ルートをサイバー空間上で生成。


出典:東芝エネルギーシステムズ

その後はサイバー空間で生成した最適な飛行ルートに従って、ドローンが現実空間で対象施設を撮影し、サーバー空間の施設をより精緻になるよう再構築します。


出典:東芝エネルギーシステムズ

ドローンの撮影画像に、東芝が保有する画像解析技術を用いることで、錆などを検出し劣化箇所を特定することが可能となっています。また、定期的に点検することで経時変化を把握することができ、将来の劣化予測につなげることも期待されています。


出典:東芝エネルギーシステムズ

実証実験

こちらの技術は実際に福岡県の三川発電所のボイラー施設で実証実験が行われ、プラント施設の3次元イメージの構築を含む一連の作業工程と、構造物の錆などが適切に検出できることが確認されたそうです。

まとめ

同社では今後も国内で複数の実証実験を行っていくことで技術の完成度を高めて実用化を目指していくそうです。

これは珍しい工程ですね。まずレーザー計測で点群データを取得し、施設を3次元モデル化。3次元モデル化されていれば飛行ルートも信頼性の高いものになります。

その後にさらに3次元モデルの精度を上げるために実際に飛行させてデータを取得。精緻な3次元モデルで劣化箇所を特定可能にしています。

これは相違点があるかもしれませんが、いわゆる仮想空間にもう一つの構造物などを作るデジタルツインのようなものですね。点検の効率化もそうですが、先の劣化予測などにも活用できることから、今後もこのような手法は増加してくるかもしれません。

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