こんにちは。昨日は近畿でも梅雨明けとなりました。京都では梅雨明け早々に35度という高温に…これから猛暑が続きますが、急に高温となった今の時期が一番体調を崩しやすいので、無理をせずにいきましょう。
さて、本日は人工知能やドローンの開発を手がける株式会社A.L.I.Technologiesが、多目的産業向けに、国産AIを搭載したドローン「A.L.I. Number One(エーエルアイナンバーワン)」を開発したという話題。
AIエッジコンピューター搭載ドローン「A.L.I. Number One」
開発された「A.L.I. NumberOne」ですが、AI推論が可能なエッジコンピューター機能をドローン本体内部に搭載することで、AIによる解析結果のデータをドローンから直接入力し、ドローン操作者に送信することを可能としています。
エッジコンピューター(エッジコンピューティング)とは?
ドローンにエッジコンピュータを搭載することで何ができるの?という所ですが、まずはエッジコンピューティングを知る必要があります。
クラウドコンピューティング(クラウド)という言葉はよく聞くと思いますが、クラウドがサーバーを集約し集中的に処理する集中処理型になっているのに対し、エッジコンピューティングは端末の近くにサーバを分散配置し処理を行う分散処理型になります。
極端な図ですが分かりやすくしてみると以下のような形。
クラウドがデバイスからのデータをそのまま集約して受けて処理するのに対し、エッジの場合は一旦エッジでデータを一時処理することで通信のトラフィックを軽減できるという点、また、ユーザーに近い位置で処理することからリアルタイム性を確保するという点でも、クラウドよりもメリットがあります。
IoT機器等の普及によって、無数のデバイスがネットに繋がりデータが集められ、蓄積・処理されるようになった昨今、映像データや定形化していない非構造のデータなど、複数のデータの種類とその量が増え続けています。
収集されるデータ量も膨大になる。それをクラウドに転送して蓄積、処理を行うとなるとネットワークの遅延、最悪は障害が起こる可能性がある。リアルタイム性・信頼性を求められる場合、クラウドではそれを満たせない可能性が出てくることになる。
なるほど。それでエッジという分散処理型が出てきた訳ですね。データを一括してクラウドに丸投げしているようなものですもんね。転送量=転送料金もかさみそうですし、リアルタイム性が重要なものにも使えないですね。[
ドローンでリアルタイムにAI解析
ということで、そのエッジコンピューティング(AI推論可能)の機能をドローン本体内部に搭載することで、ドローンがAIで解析を行い、その解析結果のデータをドローンから直接出力し、ドローンの操作者に送信ができるようになります。
これの何が凄いのか?ですが、大枠以下のようなことになります。
従来の方法
1.ドローンを飛行させてデータ取得
2.保存されたデータをストレージから取り出し
3.AI機器・ソフト等でデータ解析
A.L.I. Number Oneを利用した場合
1.ドローンを飛行させリアルタイムにAIで解析し、解析データを操作者に送信
通常はドローンを飛行させて、多くの画像・動画データや各種リアルタイムの数値データを、メモリーカードなどストレージに保存し、それをあとから取り出して解析しますが、A.L.I. NumberOneの場合はドローンからリアルタイムに解析データが受け取れます。
これは飛行中の即時解析や判断というリアルタイム性が求められる分野においては、かなり有用なものとなっています。
我々の業界ではそこまで即時という場合はありませんが、お客さんにリアルタイムに劣化を確認してもらうこともできるという訳です。
また、このA.L.I. NumberOneですが、AIエッジコンピューティング処理だけでなく、A.L.IのAI画像解析クラウド「SMARK™」に接続することで、さらに高性能な画像解析を行うこともできるとのこと。
エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングを、柔軟に使い分けるということが可能です。
まとめ
このAIエッジ搭載ドローンですが、こちらを活用したソリューション提供先として、多くの企業との協業が既に決まっているそうです。不審者の検出や災害時など、リアルタイム性が必要な場面は多くあると思いますので、活用される場所は多いでしょう。
リアルタイム性のメリットというのもそうですが、エッジでデータ処理を行ってからクラウドにデータ転送をすることで通信コストの削減が可能となり、クラウド側のスペックも抑えることができます。
コスト面でも大きなメリットがあり、今回紹介したドローンもそうですが、今後エッジコンピューティングを搭載した機器は当たり前になりそうですね。