こんにちは。昨日はようやく京都でも桜の開花宣言がされました。今週末から来週にかけて観光客の数はピークを迎えそうですね。また車の交通量もかなり増えそうなので運転される方は安全運転でいきましょう。
さて、本日は株式会社日立製作所とドイツ人工知能研究センター(DFKI)が開発したという、ウェアラブルデバイスの動作データを定量評価し、動作の改善点を提示するというAIのご紹介。
ウェアラブルデバイスとは身体に着けて使うセンサー機器等の総称です。
作業支援で作業者の安全確保・健康管理、作業効率化を目指す
このAIですが、スーツ型のウェアラブルデバイスのセンサーが計測した作業者の動作データを利用し、作業時にかかる身体への負荷をリアルタイムに認識・定量化するとともに、模範的な作業動作との違いをフィードバックします。
出典:日立製作所
ウェアラブルデバイスから取得したデータを解析し可視化。身体に負担のかかる動きをしていればそれが数値化されて分かりますので、具体的な動作改善のためにそれを活用できます。その改善提案をAIがおこなうという形になります。
AIの改善提案は、模範的作業動作との違いを手、足、腰など身体の部位ごとにフィードバックできるようになっているそうです。
開発背景
近年は熟練作業者の減少とともに、新たな労働力の確保も困難になってきており、自動車工場などの製造業や保守・運送業の現場では、作業者のスキルレベルを維持することが大きな課題となっています。
さらに現場の安全意識の高まりを背景に、作業者の危険防止や健康維持のための支援の重要性が増しています。
作業者の支援のためには作業中の労働負荷を把握する必要がありますが、従来の固定カメラでの映像では計測範囲が写っている範囲のみに限定されるという課題がある他、死角が生じる複雑な生産現場や屋外で安定的に定量的に作業負荷を評価することは困難でした。
技術の特徴
1.様々な作業動作を計測し身体負荷を定量化
人の主要な動きの識別に必要な30カ所を超える関節部位の動作をウェアラブルデバイスで計測し、身体の各部位の状態認識モデルを個別に機械学習させたAIによりデータを解析。
各部位の状態が組み合わさった動作の計測データをAIで認識することで、作業に掛かる負荷をディープラーニングの時系列データ処理技術によって定量化。
2.リアルタイムに身体負荷を推定し適切な作業姿勢との違いを提示
あらかじめ計測された模範作業の動作データと、作業者の動作データを個別部位ごとに自動比較することで、違いがある作業箇所と身体部位をAIが特定。身体負荷への影響が大きい部位の評価を作業者に分かりやすく提示。
出典:日立製作所
このシステムを使って重量物の持ち上げ動作で検証した結果、作業の身体負荷をリアルタイムに定量評価し、非模範的な動作に対しては腰や膝の動作が模範動作と大きく異なるといった情報の提示が可能なことが確認されたそうです。
まとめ
ウェアラブルデバイスから人の動きの部分のデータを取得し、可視化するというのは中々珍しいですね。数値さえ取れれば可視化できますので、理想的な動きの数値に合わせることが効率化に繋がるというのは分かりやすい理屈です。
物の持ち方や重い物を持って移動する時など、意外とその辺りは人によってまちまちではないでしょうか?意外とそこまで決められていないでしょうし、正しい持ち方があったとしても特に意識していなかったりということは多いかもしれません。
しかし、そういう積み重ねが腰などの身体の部位を痛めたりする原因になっていたりする可能性もあるかもしれません。
今後、日立とDFKIはこの技術を作業支援・危険行動防止に活用していく他、将来的にはスポーツ分野やエンターテインメント分野などへの応用もしていくとのこと。スポーツ分野などでは間違いなくメリットのある技術ですね。