こんにちは。いよいよ師走、12月に入りました。今風に言うと平成最後の12月でしょうか。どこの業界でも年末が近づくほど慌ただしくなってきますが、体調には十分気をつけて最後まで走っていきましょう。
本日はAIを活用した建設現場の危険予知技術の実証実験への取り組みを開始したという話題をご紹介。開発は株式会社協和エクシオ。技術には同社のIoTセンサーソリューションと、マイクロソフトのAzure IoT Edgeを活用した「Vision AI Developer Kit」を組み合わせた物になります。
AIの導入が難しい建設現場などの危険予知や施設防犯などに
ちなみにMicrosoft Azure IoT Edgeとは、これまでクラウドでデータ分析をおこなっていたものを、デバイス側で実行できるようにするというものです。
広範囲に分散した多くのIoTデバイスから集められたデータを遠隔にあるクラウドに集約して分析、という処理の仕方はレスポンスの速さという部分では非効率である、というのが昨今の考えです。
そこで、従来より効率が良い処理の仕方として注目されているのが、IoTデバイスに近い場所で処理をおこなうエッジコンピューティング。簡単なイメージとしてはクラウドでは、デバイスから直接クラウドへネットワーク接続していますが、エッジコンピューティングの場合は間でデータを処理してからクラウドに届けるイメージ。
エッジとは末端という意味でネットワークの末端、すなわち利用者の近くということになります。
従来AIの活用が困難であった現場、特に防犯や危険予知などリアルタイム処理が必要な現場や、ネットワークが不安定な現場、映像をクラウドに格納できない現場などでも、エッジコンピューティングを活用して導入できるようになるのが今回のシステムです。
そしてそれを可能にするのが「Vision AI Developer Kit」というエッジ端末で、Microsoft Azureで展開されるAIやカスタムロジックを端末で実行することができます。
出典:協和エクシオ
実証実験の背景
商業施設や鉄道など様々な施設で防犯カメラの新設や増設が進んでいます。警備員が24時間体制で監視し膨大な映像を目視確認するのは困難であり、監視業務の高度化、効率化が課題になっています。
また、膨大な監視映像を処理するためには、安定した通信と高度なシステムが必要となりコスト・導入スピードも課題になります。
そこでエッジコンピューティングが可能なカメラを利用し、協和エクシオが通信インフラで培ってきた施工技術を提供することでそれらの課題解決に寄与できると考え、今回の実証実験へ取り組まれるということです。
実証実験概要
出典:協和エクシオ
建物施設のエントランスなどに「Vision AI Developer Kit」と「フラッド型メッシュネットワーク(EXBeacon プラットフォーム)」を設置。カメラの画像解析と、利用者の持つBLEタグを使った認証を補完的に組み合わせ、ゲート管理や認証を実施。その有効性や安全性など効果測定を行う。
まとめ
エッジコンピューティングではない通常のクラウドコンピューティングでは、直接クラウドにデータが送られるので実際はデータ以外にも命令であったり色々な情報がネットワーク経路を通ります。
例えばスマートフォンであれば、スマートフォンから基地局や交換局を通り、事業者のコアネットワークからネット接続、さらにネット内接続ポイントへと、実際に通る箇所は多くあります。これが海外ネットワーク経由になれば尚更時間もかかり、その分の遅延が発生します。
実際に遅延と言っても数百や数十ミリ~数秒程度なので、多くの運用に問題がない場合は多いですが、リアルタイムな情報が必要になる場合はそれが命取りになるサービスも多くあります。自動車の自動運転などは特にそうですね。
エッジコンピューティングが考えられたのはそういった部分の背景があります。今回の事例のように今後はこのエッジコンピューティングを活用したサービスがさらに増えてくると思われます。