こんにちは。昨日は京都では夕方から雨となり今朝はいつもより肌寒い日となりましたが、師走に入るとまた気温が高くなるようで関東や九州では20度を超えてくる日もあるそうです。暖冬とはいえ寒い時は寒いですし、今年は例年になく寒暖差が激しくなりそうなので服装には気をつけていきましょう。
本日は建設現場などで問題になる騒音。重機から発せられる物や作業で発生するものなど色々とありますが、その発生する騒音を低周波音で低減するシステムの話題。
奥村組のアクティブ消音システムがさらに改良
騒音と逆位相の音、要は打ち消し音を発生させることで騒音を打ち消すという仕組みになっており、低周波音を10db以上消音することに成功。
10db以上消音されるというと、地下鉄の社内の音が騒々しい事務所の音レベルまで下がるイメージでしょうか。この辺りは帯域によっても感じ方が変わると思いますが。
出典:奥村組
この奥村組が開発したシステムは「アクティブ消音システム」と名付けられ、2014年に開発されこれまで活用されてきたものですが、今回、それの適用範囲をさらに拡大できるものに改良されたそうです。
エンジン音にも適用可能で走行する建設車両による騒音を低減
今回さらに改良が加えられたアクティブ消音システムは、建設現場で稼働する建設車両のエンジン音にも適用できるようになり、エンジン音への低減効果が確認されたということです。
出典:奥村組
従来のシステムでは、騒音の周波数を全て拾い出してその逆位相音を計算しスピーカーから出力という形をとっていました。それを建設車両のエンジン音にまで適用しようとすると、計算量が莫大なものになり計算に時間がかかり過ぎ、十分な効果が得られなかったそうです。
そこで、建設車両のエンジン音に複数存在する音圧の大きい周波数に注目し、あらかじめ建設車両のエンジン音を測定。音圧が大きく周囲への影響が懸念される複数の音域のみに逆位相音を計算する方法を開発し、アクティブ消音システムに組み込む改良を行いました。
出典:奥村組
周囲に影響の少ない音圧の小さい周波数に関しては、逆位相音の計算を行わないようにすることで計算時間の大幅短縮に成功し、計算から出力までを1秒未満で瞬時に行えるようになり、エンジン音を即座に打ち消すことができるようになったということです。
この仕組みが開発されたことで、騒音を発生するあらゆる機械や設備にも適用が可能になっています。
実際の工事での検証結果
出典:奥村組
この新しいアクティブ消音システムを中日本高速道路発注の、中部横断自動車道 森山トンネル工事で検証したところ、コンクリート運搬に使用するトラックアジテータ車のエンジン音を8db程度軽減できたことが確認されています。
出典:奥村組
今後はダンプや重機、発電機などあらゆる機械・設備のエンジン音に適用が可能なことから、工事現場における周辺環境の保全技術として積極的に展開される予定とのこと。
まとめ
法律では騒音規制法というものがあり、特定の建設作業を含む建設工事をおこなう業者は、自治体に特定建設作業として詳細な届けを提出しなければなりません。
ちなみに例として東京都では、工事の時間帯はAM7:00~PM7:00までの内の10時間。連続作業日数は6日まで。日曜祝祭日は作業は禁止。騒音の上限は85db(大体地下鉄の電車内)となっています。この辺りは自治体によって多少変わってきますが概ね共通しているでしょう。
バックホーやブルドーザー、削岩機など、あくまで最大のパワーレベルの場合ですが100dbを超えるような重機も多くありますので、アクティブ消音システムの約10db軽減は現場にはかなり恩恵があるものだと感じます。