こんにちは。まず始めに本日の読売新聞の1面に、国交省が国や自治体が管理する橋やトンネルなどの老朽化対策に「赤外線カメラを使ったひび割れの確認などの調査を本格的に導入する」との掲載がありました。
原則として目視に限られていた要領を緩め、来年度以降は赤外線の調査が認められるそうです。
今日本では全国的に老朽化したインフラの改修が課題になっています。早急な対応が望まれる一方で年々深刻化する人手不足問題。赤外線カメラを活用することで人員もコストも削減でき、しかも安全性の高さもあります。
これは土木分野でも赤外線サーベイが広まりそうですね。
さて、本日は大成建設が開発したICTを活用し、コンクリートの打ち重ね状況をタブレット等で即時に把握することができるという管理システムをご紹介。
打ち重ね状況をリアルタイム把握できる「打ち重ね管理システム」
このシステムですが、3年程前に大成建設で開発した現場打ちコンクリート工事管理システム「T‐CIM」の機能の拡張したものになるそうです。
出典:大成建設
このシステムで計画段階での最適な打ち重ね時間を考慮した打設手順の選定、工事全体の打設状況の迅速な把握、管理が可能となります。
コンクリート打設の課題
土木では常識ですが、コンクリートの打設の際に2層以上に分けて生コンを打設する際に、1層目のコンクリートの打設後、既に適正時間を過ぎて硬化してしまったコンクリート層の上から、次のコンクリートを打ち継いだ層の事を「コールドジョイント」と呼びます。
こうなってしまうとコンクリートは繋がっておらず一体化しているとは言えなくなります。継ぎ目の強度低下やひび割れが発生しやすくなったり、水が漏れてくる可能性があったりと全く良いことがありません。
このコールドジョイントを防ぐために、現場では各施工エリアの工事担当者が、打設の開始、完了時刻から最適な打重ね時間を計算し、それを野帳で記入して管理するというアナログ形式でした。
その方法の場合、複数の施工エリアで同時打設するという状況で、全体の打設状況を把握することはできない為に、打ち重ね制限時間内に打設するのが困難です。
また、打設完了後に野帳の手書き記録からのデータ整理や帳票などの提出書類の作成に手間がかかるという問題もあります。
これら課題をクラウドとタブレットシステムで解決
システムの特長
出典:大成建設
1.コンクリートの打設手順をデータ化した打ち重ねモデルをエクセルで作成。その打ち重ねモデルを適用し、形状が複雑な構造物でも、複雑な打設手順の設定や編集を容易に行うことが可能。
打設計画の段階で様々なケースを事前に検討することもでき、最適な打設手順の選定が可能になります。
出典:大成建設
2.タブレットで施工ブロックごとにリアルタイムに打設開始、完了時刻の記録・確認が可能。状況に応じて施工ブロックを色分け表示して見える化できます。
3.担当者が野帳に手書きで記録していた情報が、クラウドサーバーで一元管理されるので情報の共有ができ、迅速で精度の高い打設管理が可能。
4.打設後に作成していた帳票等が自動作成されるので、業務の省力化・効率化を実現
まとめ
コンクリートの打設管理にいまだ野帳が使われていたことにびっくりしました。おそらく野帳で対応できることの方が多かったのかもしれませんが、規模が大きくなると難しさや手間に対して無駄を感じる場面も多くなってきたのでしょう。
土木・建設業界では、現状で問題を感じていながらも開発となると予算の面で難しい場合だったり、そもそも気づいていない潜在的な事など、まだまだ改善できることが多くあると感じます。