こんにちは。皆さんご存知のように台風が来ております。関西には現在の所、30日の夜から1日にかけて通っていくような形になりそうです。
先日猛威をふるった台風21号よりも勢力は若干弱いようですが、21号と同じ「非常に強い勢力」に分類される台風なので十分な警戒は必要ですね。
関西では真夜中になりそうな感じなので、物などが吹き飛ばされないようにしっかりと対策をおこなっておきましょう。
さて、本日は人間と同じように重労働ができる人型ロボットの試作機が開発されたというニュースがありましたのでそちらをご紹介。
重労働可能な人間型ロボットで大型構造物組立での実用化目指す
これを開発したのは、日本で最大級の公的研究機関である産総研(国立研究開発法人産業技術総合研究所)。このブログでも産総研の開発した製品を何回かご紹介してきました。
今回はロボットですが、ロボットと聞いてまず人型のロボットを思い浮かべる人は多いと思います。ですが実際に製造や産業で使われるロボットと言うと、大体がロボットアームであったり、お掃除ロボットのルンバのような自律走行式の作業ロボットだったりという事は比較的多いです。
しかし今回ご紹介するのは、まさに人型のロボット。足もタイヤじゃなく二足歩行している完全な人間型です。その名も「HRP-5P」
ロボットの性能
大体こういうロボットは見た目だけで、いざ使うとなると実用的ではないというパターンがままありますが、この「HRP-5P」は一味違います。
基本的に重労働作業の代替えを目的とした設計なので、強靭な身体と高度な知能を兼ね備えており、自身単体で自律的な作業をおこなうことができます。
その大きさは、身長182cm、体重102kgとかなり良いガタイです。そして人間的な細かい動きをできるように数多くの関節を備えています。
首、腰、腕、脚、手で合計37の自由度が備えられており、人に近い動きができるようになっている他、股関節などは、人間が140度までしか動かない所を202度まで動け、腰関節に至っては人間が80度の所が300度まで動けます。
そして行われた実験では、石膏ボード(1820×910×10mm 重さ11Kg)の取り付け(設置とネジ止めまで)を自律的におこなっています。
障害物はどうなるんだ?どうせ決められたルートしか動けないんだろう?と思われる方もいらっしゃると思いますが、このロボットの凄い所は自律作業を可能にする頭脳面にもあります。
頭部にはセンサーが備えられており、周辺環境を常時3次元計測。その計測結果から歩行計画を作ります。計測情報は蓄積し、常に更新していくことで視野が制限される状況であっても歩行計画や足部の滑りなどに補正をかけられるそうです。
刻一刻と変化する現場であっても、空間を常時3次元計測し変化を更新していくので、ロボットはその変化をしっかり把握できているということですね。
人は前方の物しか目に入りませんが、センサーで全方位の状況を把握できるのはこのロボットの強みです。
開発の背景
このロボットが開発された背景ですが、大きくは昨今の少子高齢化に伴う業界の人手不足に対する解決手段、というのが理由です。
多くの業種で今後人手不足に陥るのは避けられないという予測なので、このように自律的に作業ができるロボットなどを利用していくことが急務となっています。
後、安全面においても建設現場や船舶の組み立て等、大きな構造物を組み立てる作業現場では常に作業員は危険な重労働作業を行っていることから、それをロボットによって代替えすることも望まれています。
しかし、現場ではロボットに合わせた作業環境の整備が難しいためにロボットの導入が進んでいないということですが、この人間と似た身体構造を持つロボットにすることで、作業環境を変えずに人の作業を代替えできるようにするという狙いもあります。
まとめ
さすがに動画でロボットの作業スピードを見ると「遅い!」と思ってしまいますが、正確な作業さえできるのであれば放っておけば休まず動いてくれるのでかなり便利です。
最初は何故人型なんだろうと思いましたが、作業環境を変えなくて良いという意図を見てなるほどとなりました。脚をタイヤにすれば移動速度は上がりますが、階段などの段差をどうするんだという問題は出てきますしね。
スピードはともかく、動きの部分では人間以上の可動範囲も持っているので人以上のことをできる可能性もあります。この技術にAIや5Gなどが加わるとどうなるか楽しみです。
現状では色々な面で手軽に導入できるレベルの代物ではないと思いますが、今後の発展次第で現場に1台、というような時代がくるかもしれませんし来て欲しいですね。